命の安売り

えあのの

命の安売り

 「寿命~寿命~寿命はいらんかね?」


 「お、お客さんお目が高いねえ、そいつはハリウッドスターの寿命30分だよ、三千万、安いもんだろう?」


 「え、もっと長いのがいい? うーんそうだなぁ、じゃあこの独身平社員の寿命1日なんてどうだい? 三十万だよ」


 「え、いらない? あぁ、そいつは死にかけの爺さんの寿命一週間だよ。そんなのがいいのかい。へえ、物好きだねえ。それなら二千円でいいよ、そろそろ廃棄予定だったしね」


 「んで、お客さんそれ何に使うんだい」


 「え? 捨てるのかい? それまたどうして」


 「せっかくある時間を無駄に使うのって何だか人間らしくないかって?」


 「うーん、まあそういうもんかねえ、まあ売っちまったもんだからあとは好きにしなよ」


 「いまさら人間に憧れるなんて、珍しいやつもいるんだな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

命の安売り えあのの @airnono

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る