第11話終章 汚濁の白


 朝が来て、目が覚める。

 身を整えて、洗濯をしながら献立を考えて、料理を作り出す。

 そして、料理を終える頃には、洗濯機も止まり、洗濯物を干し、未だ眠っているアイツを起こす。

 それでもなかなか起きて来ず、呆れて煙草をふかす頃には流石のアイツも起きて来て、朝ごはんを温め直す。

 居間でテレビを観ながら朝ごはんを共に食べ、皿洗いを賭けて刀の稽古を庭で行う。

 8割の確率で俺が負け、皿を洗い、ついでに昼飯を作り、また二人で食べる。

 それから、テレビを見て、それが終わると料理を出来ないアイツに料理を教えつつ、晩酌の準備をする。

 準備が整い、二人で酒を飲み交わし、酔い潰れて眠りに落ちる。

 そんな、懐かしい、けれど、見た事のない、あった事のない、いつか夢見た夢を、見た。

/

この世の何処かに。

 獣の、住む古びた屋敷が、あると言う。

 その白い霧に覆われた屋敷は、蔵があり、見合った代償さえ払えば、人の願望を叶える異端具を得られるらしい。

 しかし、欲深いものはその屋敷では蔵に入る事は許されず、獣に喰われてしまうらしい。

 逆に、獣に好かれれば、蔵に入れ、死ぬまで屋敷に留まることもできるらしい。

 そして、その獣は、常に物憂げな顔を浮かべ、何かを待っているらしい。

 名前の無いその獣は、7番目の厄災「汚濁の白」と呼ばれている。


「…俺の、執着の果ては、何処なんだろうな…白鋭。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

汚濁の白 白都アロ @kanngosikodoku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ