とある王国にて 中編
リアラはパーティーが終わったあとファイクハイト公爵家の屋敷に来ていた。
屋敷に入り、応接間にきて座って待つ。
外はもう夜だが、ランタン式の魔道具で屋敷の中は明るかった。
しばらく待っていると、燕尾服の男が入ってきた。
「はじめましてリアラ様。私はベルラ様の執事であるヘリーと申します」
「はじめまして、ヘリーさん」
「あなたの活躍は存じ上げております。魔物の大群を1人で撃破した英雄だと.........」
「いえいえ、私は旅でたまたまここに訪れた時、この国が魔物の大群に襲われていたから助けただけです。英雄と呼ばれるようなことをした覚えはありません」
「ご謙遜を、娘がドラゴンに食われそうになったところを救ってくれたり、この国を救ってくれたあなたは英雄以外に何があるんですか.........っと、長話してもあれですしそろそろベルラ様の所までお連れしますね」
「わかりました」
そう言うと、ヘリーはリアラを2階の1番奥の部屋に案内した。
ヘリーが扉の前に立ち、扉をノックする。
「ベルラ様、リアラ様をお連れしました」
「入れ」
そう言われ、扉を開けリアラを中に入れる。
中には机に向かって仕事をしているベルラがいた。
「申し訳ない、この書類を終えたらすぐに要件を言うから座ってて待ってくれ」
リアラはベルラの前にある椅子に座った。
ちょうど書類作業を終えたベルラはリアラに顔を向ける。
「すまないね、これから旅に戻るというのに時間を使わせてしまって」
「いえ、大丈夫です。それよりご相談とは?」
「そのことなんだが実は最近私の密偵から国王が奴隷を買っているという話が入った」
「奴隷...ですか?」
「ええ、この国の奴隷は違法だ。だが、あの男は自ら立てたルールを破り、さらに、奴隷を玩具にしている。人を玩具にしているんだ...私は絶対に許さない。」
「.......それで、ご相談というのは.......」
「ああ、あの男を断罪して欲しい」
「.......」
「もちろん、私自ら殺すというのも考えた。だが、この国の城は厳重な警備がしかれてある。すまないが私は無理だ。しかし、こちらの都合を押し付ける訳では無い報酬もある。金貨500枚だ。」
金貨500枚 5年は遊んで暮らせる金額。
「それと、もうひとつ頼み事をしたい。王...いや、あの罪人の首を持ってきて欲しい」
「どうするんですか?」
「あの男の首を晒し、これまでの罪とその証拠を暴露する。」
「.......わかりました」
「すまない、君に辛い思いをさせるだろうが、このままじゃこの国は滅びの道を進んでしまう。だから━━━━」
「大丈夫です。旅で辛い思いをたくさん経験しました。だけど、辛い思いなんてこの国の人に感じてほしくない。だから、俺はこの国を救います。」
そして、リアラは立ち上がり部屋を出て屋敷から去ろうとしたその時、
「待ってくれ」
そう言われ、リアラが振り返った時袋が飛んできた。
リアラはそれをキャッチする。
「金貨10枚入ってる。それで必要なものを買っていい。どうか、この国を救ってくれ!」
リアラは頷いた後、すぐにこの屋敷から去っていった。
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記憶喪失の少年は世界を廻る ただの素人作者 @yamiwa
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