とある王国にて 前編
とある王国の王城でパーティが行われていた。
きらびやかなシャンデリアがぶら下がり、テーブルには豪華な食事が並べられており、貴族の人々はグラスを片手に雑談をする。
パーティが開かれた理由はとある1人の少年だった。
その少年は今貴族達の注目の的になっていて、少年の周りには様々な貴族の人達が群がっていた。
「私の娘なんてどうですか?結構美しいと思いますけど.........」
「いやいや、わたくしの娘は公爵家の次期当主であり、貴族の間でも良い評判ですよ」
「あ、あの.........私のこと覚えてますか?ゴブリンの群れに襲われたところ助けてもらいました、その時恥ずかしながらあなたのこと好きになってしまいました、なので、私の婚約者に.........」
「私の養子にならないか、君は我がバスタード家の意志を継ぐにふさわしいと思う」
少年の元には次から次へと娘の婚約の申し出や貴族の娘からのプロポーズ、養子の申し出が数多く寄せられた。
その時の少年は、
「皆さんの申し出は本当に嬉しく思います、ですが、私は英雄になるために国を魔物の群れから守ったわけでもありません、私は困ってるこの国の人々を助けただけです、そして私はとある理由で旅をしているので皆さんの申し出は申し訳ありませんが承ることはできません」
そう言い、彼.........リアラは人混みから離れた。
リアラはバルコニーにたむろっていた。
そこに、初老の男性が近づいてきた。
「疲れているように見えるのは私の気のせいか?」
「いえ、気のせいじゃないですよ、国王様」
初老の男性は国王である。
「まあそうか、君は色々言い寄られその返答をすることに疲れているのか」
「私は別に偉くなりたいとか美少女と付き合いたいとか思ってません、なぜあんなに言い寄られのか.........」
「私からしてみればなぜ君は権力や女に興味がなく、金にしか興味がないのか疑問でしかないが」
「旅に必要だからですよ」
「はぁ.........」
国王は少し考え言う。
「考え直さないか」
「いいえ」
「金だったらいくらでもあるぞ」
「国家予算はいりません」
「私の娘は━━━」
「私は結婚しません」
「.........」
「他になにかありますか?」
「行くのか?」
「はい、僕には2つ目的がありますからね」
リアラは国王に覚悟を決めた顔をしながら言う。
国王は少し考え、
「わかった、旅の目的を達成できるよう私達も願おう、もし目的が達成出来れば私の国に来るといい、好待遇で迎えよう」
「わかりました」
国王はバルコニーから去る時男とすれ違う。
男はリアラのいる方へと向かう。
「リアラさん」
リアラは自分の名前を呼ばれ振り返る。
そこには、青い服を着た男が立っていた。
「なんでしょうか」
「私はファイクハイト公爵家のベルラ・ファイクハイトです、実はちょっとご相談がありまして、パーティーが終わったら私の屋敷に来てくれませんか?」
「ここでご相談してもいいですよ」
「いえ、この話は他の人には聞いてはいけませんので━━━━━━━」
「わかりました、パーティーを終えたらすぐに向かいます」
「では、お待ちしております」
男はそう言い、お辞儀をして去っていった。
すると、リアラの前に本が出現し、閉じたまま浮く。
〈なんかあの男、胡散臭くない?〉
「そうだな.........」
〈ねぇリアラ、どうする?〉
「俺の感が『あいつは生きてはいけない』とずっと連呼してるからな、とりあえず行ってみる」
リアラの瞳に光などなかった。
〈ふーん、まっ.........面白そうだし行って見るか♪〉
ミラビはそう言い消える。
そして、リアラも城の中に入っていった。
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