魔法少女サクラ

@nishiyoshi

プロローグ 水族館怪人事件

 今日は朝から雨だが、東京中央水族館はいつものように賑わっていた。特に、記念写真コーナーは行列が出来ていた。


「あそこで写真撮ろう!」


 私は、翼にそう提案した。


「じゃあ撮ろうか」


 翼は私の提案を笑顔で受け入れた。


「すみません、お願いします」


 私はスタッフにスマホを渡した。


「じゃあ、撮りますよ。はい、チーズ」


 私と翼は、スマホのカメラに笑顔を向ける。

 その後、私達はジンベイザメを見ていた。


「大きいね──」


 私は、その大きさに心を圧巻されていた。

 その時だった──


「キャァァァァァァァァアアアア!」


 近くから女性の悲鳴が聞こえた。


「何だ!?」


 翼と私は声がした方向に顔を向ける。そこには、一昔前の特撮物に出てきそうな戦闘服を着た戦闘員だった。

 戦闘員は、小さな女の子を人質に取りこう言った。


「私ハ強盗ダ。コノ水族館ノスベテノ金ヲヨコセ。アト逃走用ノ車モ用意シロ」


 戦闘員はそう言うが私は思った。


──なんでこんな所で銀行強盗みたいな事やってんのよアンタは! てか普通、銀行でやりなさいよ銀行で!


 そう思うも、女の子の命がかかっている。


「翼、私ちょっとトイレに──」


「おい、りん。こんな時にかよ」


 私はトイレに行く事を口実に、その場を一旦離れた。

 私は、人には言えないある秘密がある。ステッキを鞄から取り出し正面に突き出す。

 すると、私の服や髪が輝かしく変化していった。それが止まると、私はさっきの現場に戻った。

 戻ると、警察官数人が戦闘員に拳銃を向けていた。


「今すぐ、その子を離せ!」


「撃テル物ナラ撃ッテミロ」


 私は、野次馬の後ろから高く飛び上がり警察官と戦闘員の間に着地する。


「ナンダ貴様?」


 戦闘員は私を睨みつける。


「おい、こいつシャルルじゃないか?」


「嘘!? シャルルってあのシャルル?」


 野次馬が私に気付き始めた。私は、全国的に有名な魔法少女「シャルル」なのである。


「みんなの笑顔を守り抜く! 魔法戦士シャルル参上! 今すぐその子を離しなさい!」


 私は戦闘員に力強くそう言う。


「貴様ガシャルルカ──」


 その後、私は簡単の戦闘員を倒した。そして、マスコミからインタビューやフラッシュの嵐を浴びている。


「私の名前は魔法戦士シャルルです」


 私はそう言いながら、右手の親指で自分を指しカメラを見つめる。


──これだから魔法少女はやめられないんだよ。この承認欲求的な物が満たされるのがすごく気持── ん!?


 私は、マスコミの奥で不純な目つきでスーツを着た男を見かける


──何かしら、あの人。まるで何人も人を痛めつけたようなあの目──


つづく

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