#17
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「はい、できた」
アリアが、私の髪を結い終えた。
長い髪を上の方でまとめ髪にして、ティアラの邪魔にならないようにしている。
「しかし長くなったねぇ、上でまとめ髪にできるよ」
「この日のために伸ばしたからね」
私は、自分のドレスに感慨を深めながら鏡に映る自分を見る。
白のドレスを着た私は、数ヶ月前とは別人のようになっていた。目のクマは改善されて、ちゃんと女性的な体つきになって、手先の荒れは完全になくなっている。今は外しているけど、婚約指輪はピッタリになった。
「さ、そろそろ時間だよ」
アリアが、最後の仕上げにベールを被せてくれる。私の視界が幸せで少し遮られた。
「うん、いってくる」
私はそう言って控室をでて、茶色い両開きの扉の前に立つ。
大きなベルの音とともに、扉が開く。
足を覆い切る程の長い裾をゆっくり蹴るようにして、一歩ずつ確実に進んでいく。
私にエスコートしてくれる親族はいないけど、これでいい。いつだって父様はそばに居てくれるから。
彼が待つ場に立って、向かい合う。
白いタキシードに少し髪を切った彼は、いつもより格好良く見える。
こんなにかっこよかったっけ?なんて間抜けなことを考えた。
「病める時も、健やかなる時も…」
神父の誓いの言葉が聞こえる。私たちの出した答えは当然、“誓います”だ。
銀細工のシンプルな指輪を交換した私たちを見届けて、神父は言う。
「最後に、誓いのキスを」
その言葉に、彼がそっと私のベールを外す。
互いに静かなキスをして、私たちは結ばれた。
ねぇ、フィン。
私、今日ほど貴方に救われたことってないわ。
貴方が私を見続けてくれたから、貴方と私の“永遠”がつながって、今があるんだもの。
貴方にもう一度恋をして、本当によかった。
こんなこと、絶対に内緒だけどね。
ありがとう、私の王子様。
二人で幸せになろう、永遠に。
FIN
公爵子息は荒んだ彼女を愛してる 三日月深和 @mikadukimiwa
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