#17

 

 

 ********

 

 

「はい、できた」

 アリアが、私の髪を結い終えた。

 長い髪を上の方でまとめ髪にして、ティアラの邪魔にならないようにしている。

「しかし長くなったねぇ、上でまとめ髪にできるよ」

「この日のために伸ばしたからね」

 私は、自分のドレスに感慨を深めながら鏡に映る自分を見る。

 白のドレスを着た私は、数ヶ月前とは別人のようになっていた。目のクマは改善されて、ちゃんと女性的な体つきになって、手先の荒れは完全になくなっている。今は外しているけど、婚約指輪はピッタリになった。

「さ、そろそろ時間だよ」

 アリアが、最後の仕上げにベールを被せてくれる。私の視界が幸せで少し遮られた。

「うん、いってくる」

 私はそう言って控室をでて、茶色い両開きの扉の前に立つ。

 大きなベルの音とともに、扉が開く。

 足を覆い切る程の長い裾をゆっくり蹴るようにして、一歩ずつ確実に進んでいく。

 私にエスコートしてくれる親族はいないけど、これでいい。いつだって父様はそばに居てくれるから。

 彼が待つ場に立って、向かい合う。

 白いタキシードに少し髪を切った彼は、いつもより格好良く見える。

 こんなにかっこよかったっけ?なんて間抜けなことを考えた。

「病める時も、健やかなる時も…」

 神父の誓いの言葉が聞こえる。私たちの出した答えは当然、“誓います”だ。

 銀細工のシンプルな指輪を交換した私たちを見届けて、神父は言う。

「最後に、誓いのキスを」

 その言葉に、彼がそっと私のベールを外す。

 互いに静かなキスをして、私たちは結ばれた。

 

 

 ねぇ、フィン。

 私、今日ほど貴方に救われたことってないわ。

 貴方が私を見続けてくれたから、貴方と私の“永遠”がつながって、今があるんだもの。

 貴方にもう一度恋をして、本当によかった。

 

 こんなこと、絶対に内緒だけどね。

 

 ありがとう、私の王子様。

 二人で幸せになろう、永遠に。

 

 

 

 

                                 FIN

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公爵子息は荒んだ彼女を愛してる 三日月深和 @mikadukimiwa

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