Day10「ぽたぽた」
「え、どうしたの、それ」
珍しく彼女の方から話しかけてきた。濡れた甲斐はあったな。
「ずぶ濡れで何で嬉しそうなのか分からないんだけど」
彼女が慌てて鞄の中を探っているが、そこに気の利く、例えばハンドタオルの類が入っていないことを俺は知っている。
彼女はそこそこ残念系である。
「あ、ポケットティッシュあったよ」
「それじゃ追いつかないっての」
結局自分のタオルを荷物から取り出し適当に拭った。ぽたぽた机の上に落ちた水滴も拭かないと。
「移動中にゲリラ豪雨だよ」
棟を跨ぐ間に降られた。
「この間はスマートに傘持ってきたのに」
今日は残念だったねと笑う鈍い彼女に少しだけ種明かしをしたくなった。
「ああ、あの日は狙ってたから」
*あの日……Day1「傘」
https://kakuyomu.jp/works/16817330659678655821/episodes/16817330659685156530
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