四季の花詩

文章魚

四季の花詩

先陣を切り福寿草ふくじゅそう 年をゆく


落椿おちつばき 蹴飛ばすつま先の重き


ヒナギクや 恋占いて三輪目


桜のみ あの日のままの廃校舎


たてがみを広ぐタンポポ 獅子のそう


勿忘草わすれなぐさ 我が足跡を飾れるか


白藤しらふじや 黒猫の尾と共に揺れ


紫陽花あじさいの色塗り替えて にわか雨


人の世を真似まねて競いて 花菖蒲はなしょうぶ


ホタルブクロに閉じ込めし 水無川みなしがわ


ハマボウの写真の便り 故郷より


水かさの増す蓮池はすいけや 雨の椀


竜舌蘭りゅうぜつらん 開花を待てぬ命あり


酒の海 揺蕩たゆた菊花きっか 祖父の杯


月来香げつらいこう 笑ってくれよ 朝までは


紅をさし 来ぬ人を待つ 彼岸花ひがんばな


車窓の秋桜コスモス 汽笛に手を振りて


枯れすすき フィルター越しの風情かな


辻風に絡まり香る 雪中花せっちゅうか


ため息の一人旅 山茶花さざんかみち


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四季の花詩 文章魚 @takotako8

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