08.シロヒ、フレンドになる
「お願いですから、許してください……その……何でも……何でもしますから……!」
「いやいや、そんないいですよ。何もしなくても許しますから」
トウラは遠慮する。
元より彼は怒ってなどいなかった。
「いえ! それでは私の気持ちが収まりません。何か……何かさせてください!」
「……そうですか」
どうしてもシロヒが食い下がらなそうであるので、頭を捻らせる。
(……急に何かと言われても思いつかないんだよなぁ……うーん……)
「それじゃあ……そうですね……"フレンド"になってもらってもいいですか?」
「ふ、フレンド……?」
「そうです。フレンドです」
……それってつまり××フレンドのことぉおお!?
シロヒは曲解する。
何でもしますって言って、ただの友達なわけないよね?
絶対、××フレンドのことだよぉ……
◆シロヒ側コメント
"シロヒ、よかったな。初めてのフレだぞ"
"それだけで許してもらえてよかったな"
"安いものじゃないか、今日の恩を考えれば"
"その際は是非、配信の方をお願いします"
……!
◆シロヒフィルタ
"シロヒ、よかったな。初めての(×)フレだぞ"
"それ(身体売る)だけで許してもらえてよかったな"
"(お前の身体なんて)安いものじゃないか、今日の恩を考えれば"
"そ(行為)の際は是非、配信の方をお願いします"
この悪魔どもめ……!
……
「……その……ひょっとしたら想像以上に……その不慣れですが……いいですか?」
「……?」
(不慣れ……? あぁ、そうだよな……この人もあんまり友達いないのか)
「えぇ、大丈夫です。私も不慣れですので!」
でしょうね……!
しますよ! 溢れんばかりの童貞臭が……!
…………でも……さっきのは……かっこよくて……
あぁああ゛あああああ゛ああああ!!
シロヒは落ち着こうと、再び、借りていたトウラの上着の襟の部分に鼻を押し当て、すーはーすーはーする。
(ひっ……またしてる……この人……)
こうして二人は晴れて(?)、フレンドになった。
◇
数日後――
「ほーら、ショーイ、お肉でちゅよ」
ぴぃ
ショーイはそれはもう美味しそうにお肉を食べる。
(……あぁ、かわいいなぁ)
トウラはショーイとの至福の時を過ごしていた。
しかし、一つ、懸念点があった。
(…………でかくなったな)
ショーイは数日と3倍くらい大きくなっていた。
成長するのはいいことだが、問題があった。
(……この宿で育てるのはすぐに限界が来てしまう)
ぴぃぴぃ
「あ、もうお肉が……」
「買いに行きましょうか? トウラさん」
あの日から、足しげく通ってくるシロヒがそんなことを言う。
「あ、いや、大丈夫……自分で行くので……」
(……なんかシロヒさん、すごい薄着なんだよな……)
ちょっと目のやり場に困るのであった。
「あの……トウラさん……」
「はい?」
「その……いつ……」
「……?」
「わ、私……今日、その……わりと……安全だから……」
(……? 安全なのはいいことだな……! ダンジョン事故には気を付けないとな!)
そうして、トウラはお肉を買いに行くことにする。
<完>
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【あとがき】
よくある動物を都合よく拾う動画に裏があるという発想を元に配信の勘違いざまぁモノを書いてみました。
初速は悪くないのですが、ざまぁモノを書くのが下手なのを実感したのでここらで完結と致します。お読みいただき、有難うございました!
もしよければ作者の別作品もお読みいただけると嬉しいです。
『ダンジョンおじさん』
https://kakuyomu.jp/works/16817330659048749202
『平リーマン、もらった地味スキルシールドが範囲狭いけど絶対壊れない』
自作自演でモンスターを罠に嵌め助けようとしていた有名配信者からモンスター助けたらなんかバズった。 広路なゆる @kojinayuru
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