第11話

 とある日の放課後。


「あ、ごめん和樹。ここの問題ってどうやって解くの?」

「うん? あぁ、これはこの数式を使ってさ……」


 もうすぐ俺達の高校では中間テストが始まるので、俺は友人の夏江と一緒に図書室でテスト勉強をしていた。


「あぁ、なるほどな! めっちゃわかりやすかったわ! サンキュー!」

「おう。あ、それじゃあ俺もわからない問題があるんだけどさ、ここの英文ってどうやって訳せばいいの?」

「んー? あぁ、これはな……」


 俺は理数系は得意なんだけど文系と英語が苦手で、夏江は文系が得意なんだけど理数系は苦手だった。だからお互いにわからない所を教え合いながら勉強を進めていた。


「……って日本語に訳せるはずだな」

「あ、なるほどなー。ありがとな、助かったわ」

「おうよ」


 という事で俺も夏江にそう感謝を伝えてから、また英語の問題集をひたすらと解いていった。


◇◇◇◇


 それから大体1時間くらいが経過した頃。


「ふぁあ……ふぅ。うーん、なんかさぁ……」

「んー? どうしたよ?」


 黙々と英語の勉強を続けていると、唐突に大きな欠伸をしながら夏江が俺に話しかけてきた。


 なんだろうと思いながら夏江の方に顔を向けてみると、夏江は勉強に飽きたようで机に突っ伏しながら俺の顔をぼーっと眺めてきていた。


「いやなんか最近さぁ……顔色良くなってるよな、お前」

「え、そうか? いや顔色の違いなんて目に見えてわかるもんか?」

「あぁ、だって全然違うからな。それにいつも午後の授業は気だるそうな感じで受けてたのにさ、最近はそんな様子も全然ないよな」

「え? あ、確かにそう言われてみれば……」


 確かにそう言われてみればここ最近は体調とかすこぶる良い気がする。午後の授業中にもダルい感じとかも全然なくなってるので、いつもよりも真面目に授業を受けられてる気もするし。


「だろ? なんだ、やっぱり和樹も自覚してんじゃん。どうしたよ、早寝早起きとかでも始めたか?」

「いやいや、割といつも夜遅くまで一緒にエペで遊んでるじゃん。昨日も深夜1時くらいまで一緒に起きてただろ」

「あはは、そういやそうだったな」


 LPEX(通称:エペ)とは巷で流行っているFPSゲームのタイトル名だ。3人チーム性のバトルロワイアル方式で爽快感があって俺や夏江が今とてもハマっているゲームの内の1つだ。


「それじゃあ他に何か変えた事でもあるのか?」

「うーん、何かって言われても……あっ」


 夏江にそう言われたので俺は少しだけ考えてみたんだけど……でもすぐに俺は思いついた。そういえばここ最近は毎日お昼ご飯に美味しい手作りのお弁当を食べさせて貰っていた。


「うん? どうしたよ?」

「あ、あぁいや、ちゃんとお昼ご飯を食べるようになったから……かな?」

「えっ!? マジで!?」


 俺がそう言うと夏江はとても驚いたような表情で俺の顔を見てきた。


「じゃあ菓子パンとかウイダーイ〇ゼリーばっかり食う昼飯生活やめたのか??」

「う、うん。まぁな」


 夏江が今言ったように、俺は少し前まではお昼ご飯にはいつもコンビニで買ってきた菓子パンとか栄養補助ゼリーやクッキーみたいな物ばかりを食べていた。


 いやそりゃあ菓子パンとかめっちゃ美味しいんだけど……でも流石に毎日食べてたら栄養は偏るに決まってるよなぁ……


 だからもしかしたらそれが午後から気だるそうな感じで授業を受けていた理由の一つかもしれない。


 でも今は佐々木さんのおかげで栄養バランスの良いお弁当を毎日食べさせて貰っているから、そういう気だるい感じとかもなくなって、体調面もすこぶる良くなってきたんだと思う。いやでもそう考えるとさ……


(何だか佐々木さんにとてつもなく大きな恩が出来ちゃってる気がするよなぁ……)


 いやもちろん佐々木さんにはちゃんと食費を毎日払ってはいるんだけどさ……でもそれだけじゃこの恩を返すのには全然に足りてないよな。


 うーん、佐々木さんから貰っているこの恩を少しでもいいから返せるような事があればいいんだけどな……

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クラスの女子にお弁当を分けてもらい「旨い!旨すぎる!!」とべた褒めしていたらいつの間にか彼女が出来た話 tama @siratamak

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