第10話
ちなみに今話に出てきた“
名前の順で整列するとこの三人が連番になるので、何かとその三人で固まって喋っているイメージがあった。
そしてもちろんこの三人の仲はめっちゃ良さそうで、一年の頃からこの三人でお昼を一緒に食べている所とかもたまに見かけたりする事もあった。
「まぁでも……千紗みたいに知らない男子から告白され続けるのもしんどそうだとは思うけどね」
「えっ? あ、あぁ、まぁ七種さんはちょっと有名だしね」
そして今話に出てきた七種さんという女の子は、実はこの高校ではかなり有名な女子生徒なんだ。
何で有名なのかというと、七種さんは今年の文化祭で行われたミスコン(他薦で参加してた)でぶっちぎりの一位を取ってしまい、文化祭が終わったあとに七種さんに告白したい男子生徒で行列を作らせてしまったという伝説を残しているんだ。
(いやあれは凄かったなぁ……)
その当時、七種さんが告白されてる所をチラっと見かけたんだけど、告白待ちをしてる男子の数が多すぎて、七種さんがめっちゃ大変そうにしてたのは何となく覚えている。
まぁでも……七種さんへの告白はネタというか、冗談でしてる男子も割と沢山いたんだけどね。ミスコン一位を取った女子だし、ちょっくらネタで告白してみるわ! みたいな軽いノリでさ。それにもし振られたとしても、七種さんが相手なら振られて当然なんだから傷つく事もあんまりないだろうって感じでさ。
(いや七種さんからしたら凄い迷惑だよなぁ……)
という感じで七種さんへの告白はちょっとだけ記念受験みたいな感じになっていたんだ。流石にそれはしんどかっただろうと思うので、俺はそんな大変な目に合っている七種さんに労いの言葉を送る事にした。まぁここに本人はいないんだけどさ。
「ま、まぁなんていうかその……ミスコン一位を取ると色々と大変そうだね」
「いや本当にね。でもそんな心配そうな事を言っておいて、実はアンタも千紗に告白とかしてるんじゃないの?」
「えっ!? い、いやいや! 告白なんてしてないよ!」
「ふぅん? そうなの?」
佐々木さんにそう言われたので俺は首を思いっきり横にブンブンと振った。俺は他の男子みたいに軽いノリみたいな感じで七種さんに告白とかはするタイプじゃないからさ。
「え、それじゃあさ、山田は今までに告白とかはした事ないの?」
「い、いや一回もした事ないよ。なんかそういうのって軽いノリでやっちゃ駄目だと思ってるからさ」
「へぇ、そうなんだ?」
「うん。まずはちゃんと友達として交流を深めていってさ、それで相手の事を本当に好きだなって思うようになってからじゃないと……何だか相手に対して不誠実じゃん?」
「あはは、何よそれ」
俺は真剣な顔をしながらそう言うと、佐々木さんはあははと笑いながらこう言ってきた。
「うーん、山田はあれだね、ちょっと古い感じの少女漫画のヒロインみたいな思考してんね」
「ちょ、ちょっと古い感じって……」
「え? あぁ、いや貶してるわけじゃないわよ? ただちょっと今時の男子にしては珍しいかなって思っただけよ」
「え? そ、そうかな?」
「うん、きっとそうよ。まぁでも……私も誰かに告白されるんだったら、軽いノリでされるよりもアンタみたいな誠実な心を持ってる人にされたいわね」
「え? な、何かその言い方だとさ、えぇっと……」
「え……あっ! い、いや違うから! 例えばってだけの話だからね! 勘違いすんな馬鹿!」
「えっ!? あ、あぁうん、それはもちろんわかってるけど!」
どうせ告白されるなら“俺みたいな……”という佐々木さんの言葉を聞いて俺はちょっとだけドキっとしてしまった。でもすぐに佐々木さんから“勘違いするな馬鹿”と言われてしまった。
もちろん俺の顔は赤くなっていたし、当然だけど佐々木さんの顔もほんのちょっぴり赤くなっていた。
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