この二人のいる場所の空気を、私は吸いたい。

最新投稿分の第4話及び独立した第3話までを拝読させていただきました。

『翻訳さん。』にて登場した名脇役、ケイとユキノに焦点を当てたスピンオフ百合物語。

まずスピンオフ作品としてはしっかりと独立している為に本作から読み始めても問題なく、心遣いをしてくださった南村さまに感謝です。

さて、肝心のレビューは以下に述べさせていただきます。

親友に対して淡く切ない恋心を抱くケイと、そんなケイの気持ちに気付きつつもあくまで親友として振る舞おうとするユキノ。
触れ合う程に近いのに未だ重ならない二人の日常模様に、なんとも心をくすぐられてしまいます。あまずっっっっっぺぇ……。

作風としては、緻密な描写にて浮かび上がる情景、空気感。そして温かく、時折コミカルな二人のやりとりが絶妙な調和を見せ、物語の世界に浸らせてくれました。この南村さまならではの文体構成によって、百合の風味が格段に増すわけですね、最高です。

それにしてもこの、親友同士が互いの事を想いながらも、大切な一線を越えられないという関係性が生み出す空気。アオハル感強めのあともすふぃあ……どうしてこんなに美味しいのでしょうか。空気清浄機の様に部屋に置く事が叶うなら、QOL爆上がり間違いなしです。

いざレビューをばと思った際、既に星を三つ入れていた事に気付いては時を止められたフランス人みたいになった上で、「どうして『三つ』だけなのよォオオオ〜ッ!」と嘆いてしまいました。
運営様には是非とも、レビュワーの魂と引き換えに星の数を増やす機能を搭載していただきだいです。

思った事をつらつらと書き連ねてしまいましたが、二人の青い感情の行方がどうなってしまうのか、今後も楽しみにしたいです。