大切な人を守りたかった者の詩《うた》
弥生
大切な人を守りたかった者の詩《うた》
風に舞う 花に微笑む 恋人よ
妻にと望み 花束贈る
瞬きし 花が
嬉しくなりて 君と
霧深き 小さな街の 診療所
妻と二人で 命を守る
肺から
苦しみて 異形に成り果てる者よ
これは呪いか 疫病なのか
霧深き 小さな街に 煤が降る
妻励まさん 宿りし命
驚きて 震える指で 腹を撫で
慈愛浮かべる 妻子抱きしめ
守るべき 命見つめて 決意する
我治療法 見つけ出さんと
産声を あげる声より 火葬場の
煙のほうが 上がる街にて
成り果てる 異形の変化 止められず
人と混ざりし 獣や蛇に
臨月の 妻崩れ落ち その肌に
黒い染みにて 感染悟る
絶望に 染まりし心 震い立て
寝食忘れ 治療を急ぐ
患者から 進行止める 治癒薬を
完治ではなく 異形のままで
この薬 それで助かる 人あれば
どうぞ私で
成功か 命も意思も そのままに
けれども身体 異形のままに
燃え盛る 炎の中に 妻と子と
悪魔の治験 糾弾される
慟哭の 雨降り続く 灰抱きて
ただ救いたい それだけなのに
我救う 異形に変わる 人々を
例え悪魔と 罵られても
人は皆 異質なものを 排除する
大切な人を守りたかった者の詩《うた》 弥生 @chikira
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