セサミストリートの隣人
花野井あす
セサミストリートの隣人
名前をもじって通称アライグマ爺さん。
愛らしい呼び名と共に今日も香ばしい胡麻をすり鉢へ。
アライグマ爺さんの一日は、胡麻の選定から始まる。
数百、数千、数万の胡麻を手でかき混ぜ、「役に立たない胡麻」を取り除く。
何事も事前の準備が重要だ。
「不必要」なものは早期に取り除くが吉。
アライグマ爺さんは得するものだけを選び抜く。
アライグマ爺さんはこの道きっての目利きである。
選定を終えれば、調理の開始である。
一部はじゃぶじゃぶと桶で洗い、日向に置く。
一部は鍋に入れて色が付くまでひたすら煎る。
選りすぐりの万万千千の胡麻たちを、如何に活かすか。
ここが腕の見せ所である。
アライグマ爺さんの干し加減、火加減は絶妙だ。
この道六十年。
アライグマ爺さんが四苦八苦しながら身に着けた職人芸。
芳しい胡麻の匂いが漂い始めたならば。
アライグマ爺さんは常連客の元へ訪れる。
そして手をすり合わせてこう言うのだ。
「今日は良いお日和で。」
「素晴らしい慧眼で!」
「さすが旦那、お目が高い。」
「これからもどうぞ、ごひいきに。」
アライグマ爺さんの営業は百発百中。
アライグマ爺さんはこの道六十年の胡麻職人。
セサミストリートの隣人 花野井あす @asu_hana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます