第46話 7年四か月

 次の日、朝までにはみんな帰って来ていた、朝食は一緒に食べてアニス達と一緒に雑貨屋へ向かった。


 雑貨屋でいつもの様に地下七階と地下十階へ持って行く物資を受け取ってからダンジョン入口で地下十階へ向かう人達と合流してダンジョンに入った。


 いつもの様に先頭で戦うのは俺だけで皆はおしゃべりしながら後ろを付いて来る、地下六階のビックフロッグの所を戦闘しながら通り抜ける時に少し他の人も戦闘したがそれ以外は戦闘せずに地下七階へ昼までに到着した。


 午後は地下十階まで行く人達と進む、俺だけ戦ってレイは魔石とドロップ品を集めて進む、夕方までに地下十階へ戻って来た。


「本当に行も帰りも一日だった、戦闘もほとんどしていないので何か物足りないが明日から普通に活動出来るのは大きいな」


「これだと地上へ帰るのが苦にならない」


「毎回一緒とは限りませんよ」


「何を言ってる、予定を早めに出しておいてくれ、それに合わせるから」


「みなさん、真剣な眼差しで言わないでくださいよ」


 誰も笑わない・・・、ここに居る人達はほとんどここより下ではもうレベルが上がらない人たちなので戦いたくないが魔物を排除しないと帰れないので戦うしかないが危険もゼロでは無い、俺達と一緒だと危険は限りなくゼロで魔物と戦う時も奇襲されることが無い、戦う準備が出来ている所に出て来る魔物は敵では無くカモだ。


 それからは月一で地上に帰る事を要望されて月一で帰って来る事になった。


 なんだか俺達の都合で無く地上へ帰りたい皆さんが帰るのに必要な回数が一月に一回程度帰らないと人数が五十人を超える事になり、毎月帰る人・三か月に一回・半年に一回の人達を連れて毎月俺たちは帰っている、毎回地上に帰ると男三人は朝帰りで俺だけ一人宿舎にいる。


「誰か一緒に過ごす人は居ないのですか、居るが声を掛けられないだけですよね、私達は朝まで帰らないのでこの部屋を使っても良いのですよ」とレイに言われているが・・。


 オーガキングの剣を見つけてから三か月、カウの剣を見つけた。


 これでカウを安定して狩れる、突撃した来たところを一撃で倒せるので一日一頭から三頭だったがカウが居れば狩れるので10倍は狩れる予定だったが一頭で居るカウが少ない、カウの集団に近づくとホーンカウ・レッドカウ・ジャイアントカウ達がすぐ攻撃してくるので逃げる、俺たちのレベルではまだ難しい。


 ホーンカウ・レッドカウ・ジャイアントカウは群れの外側に居るのでいつもの隠密作戦で行く事にした、アニスと一緒にホーンカウ・レッドカウ・ジャイアントカウに近づき剣の試練を三回行ってから帰って来る、次は群れの外側で近くにジャイアントカウ達護衛が近くに居ないカウを狙ってアニスと一緒に行き一撃で倒す。


 これが正直一番効率は良いが、みんなの戦闘訓練にはならない、仕方ないので群れから離れているカウにレイが攻撃して、その後はいつもの様に攻撃回数を伸ばして最後は魔法で止めを刺す戦法で一匹目は倒してから皆が休んでいる間にアニスと一緒に頭数を稼ぎ、群れから離れている個体を見つけると又レイが攻撃して倒すという事を続けている。


 これで一日の討伐数が5倍増え平均一日十頭は倒せる様になった。牛乳とチーズは三日に一度どちらかがドロップするが牛乳用の大きなカメが必要と言われて持って来たがこの量がドロップするのかという量だった、これはアイテムボックス持ちか魔法袋持ちで無いと回収できない。


 これは牛乳を一月に5瓶・チーズを五個ドロップする、牛乳買ってくれるのか?と思っていたら、牛乳から色々なものが作れるので幾らでもほしいと言われている。


 それとチーズはホーンカウ・レッドカウ・ジャイアントカウからもドロップするが味が違うらしい、それとジャイアントカウの肉は美味しいと言われているがジャイアントカウを狩るにはパーテイ三組以上で無いと狩れないと言われた。


「アニス、俺たちは狩りに行くか」とアニスに声を掛けて狩りに行く。


 俺達はカウを狩ったが動けないのでレイが来るのを待っている、牛乳をドロップするので背中に大きな瓶を背負ってカウに攻撃する、牛乳をドロップしたら即瓶を降ろしてドロップ品を入れる、今度は牛乳の入った瓶は俺では動かせないのでカウ達が移動するのを待つ、移動した後にレイ達が瓶を回収するのに近づいて来る・・・・。


 俺たちは牛乳待ちになると言って、その間カウ達の動きを見てるしかやる事も無い、声を出して話すと気づかれる可能性が有るのでだまっーて待っている。


「アニスとアランはどうして帰って来ないのだ」とサンドラが不機嫌になっている。


「どういう事ですか」


「牛乳の瓶を置いて帰って来る事は出来ますよね」


「それは出来るが、それをする必要が有るのか?」と俺が言った。


 どうせ合流するのにわざわざ一度みんなの所に帰ってから再度ここに戻って来る理由は無いよなとそんなことを思っている。


「アニスとばかり毎日、毎日、手を繋いでいて狡いです、私とも手を繋いでほしい」


 何かサンドラが壊れています、みんな居るのに何か言っています。


「さっさとかたずけて次行きますよ」とレイが皆に声を掛ける・・・


 サンドラがいじけているので手を繋いで次の獲物を探している。


 次の日も朝から手を繋いで歩いて居る。


 レッドカウを見つけたのでアニスと一緒に試練に行く、何となくサンドラと手を繋いでいた方の手は剣を持った方が良いような気がしてきたので反対の手を繋いだ。


「アニスちょっと力は入り過ぎです」と言っても。


「何が入り過ぎですって」て言われた、今度はアニスが怒ってる。


「何で昨日からサンドラ様と手を繋いでいるのですか」


「何でってサンドラが手を繋いでほしいって言ったからだよ、わかっているよね」


「あなたは何が判っているのですか」


「サンドラが手を繋いでほしいって言った事ですよね」


「だから男どもはあーーーー、駄目だ」


 今度はアニスが壊れた・・・、隠蔽が薄くなっていますよ、レッドカウがこちらに気が付いて突進して来ます。


 手が離れて俺がはっきり見える様になってレッドカウが突進して来ます・・・、躱して剣を試すがハズレだ。


 再度突進して来た、躱して剣を試したがハズレだ、今度は口から炎を出しながら迫って来た、目の前に炎が来た時にサンドラのホーリーシールドに炎は弾かれたが、そのままレッドカウは突進して来てる、剣を普通の剣に交換するタイミングは逃していた、このまま剣を試して躱すしかない。


 目の前に迫ったレッドカウの頭に剣が当たりそのままレッドカウが真二つに成りながら上下に分かれて行く、俺はその真ん中でスローモーションを見ている様に感じ、剣をふりぬいたままの姿で止まっていた。


 俺生きてるみたいだ。最後の剣が当たりだった。はーといって座り込んだ、疲れた。


「何がどうなったの」


「アニスさんは魔物討伐中に何をしているのですか」とサンドラがアニスを怒った。


「そんな事言ったって、アランの奴が変な事言うのが悪いんだ、私は悪くない、サンドラ様の気持ちも考えずにあんなこと言うなんて死ねば良いんです」


「ちっょと待ってください」といってサンドラがアニスを叩いた。


「人が死にそうになっているのに死ねばよかったとは言っても良い範囲を超えていますよ」


「すみません、うえーん、サンドラ様」


「謝る相手はアランですよ」


「そうですが、アランには謝りたくない」


 何か完全にアニスが壊れています。


「今回のドロップ品は凄いぞと右目が言っている」と雰囲気関係なしに、バースがドロップ品を持って来た・・・


「炎の毛皮とチーズだ」


「寒い所に行くために必要な防寒アイテムを作る毛皮、魔力を少し流すだけで温かくなる、それと食べると温まるチーズか話には聞いていたが本当にドロップするんだな」


「でも次の階は砂漠ですよね、全然使えないですよこれ」


「どこかの階には氷瀑地帯があって寒いと聞きますから対策は早めに獲れるだけ取りましょう」


「六人分だと三頭分は欲しいよな」


「それって何頭狩れば出るんですか」


「レッドカウ九十頭くらいだと思いますよ」


「そんなに居ますかね」


「レッドカウは狩られて無いから結構いると思うぞ、剣も見つかったので狩り放題だ」


 アニスとサンドラを除いた男どもが話していが、俺はこれからどうするべきかを悩んでいる。


 俺を見てレイがニヤニヤしている・・・、俺がはっきりしないのが原因なんだよな、そんな事は判っているが一つ確かめたいことも有る。


 カウの剣を見つけて二週間でレッドカウの剣を見つけた、先の感じは何だったんだ、サンドラと繋いでいた手でアニスの手を繋がない方が良いと思った事、何時もは冷静で無いと忍者で無いと言っているアニスが魔物討伐とは関係ない所で感情を高ぶらせたこと、そして最後はレッドカウにほとんど殺されていたが剣を見つけた事・・。


 悪い事の連鎖で死にそうになったが剣を見つけた・・・これって間違いなく豪運が仕事したよな。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年12月20日 00:00
2024年12月21日 00:00
2024年12月22日 00:00

世界は俺たちが救う・・・かも。 @kumaGG

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画