第45話

 お昼を食べて、少しサンドラと一緒に散歩した、誰か付いて来ている様な気がする。


 大きな通りから裏道へ入るとはっきり判る、これは・・・。


「アニス何しているの」


「どこにアニスが居る? 」


「・・・・・・」


「アニスそこに居るのは判っているから出ておいで」


「どうして判ったのですか、誰にも見つけられた事は無いのに」とアニスが言って姿を現した。


「何となくです、何時も一緒に消えている時間が長いからでしょうか、何となく消えていても判ります」


「そんな事は・・・・」といってアニスが絶句した。


「アニス、何でついて来たの」と今度はサンドラがアニスを問い詰めています。


「それはサンドラが危機に陥ったら助けるためです」


「アランと一緒の時に危機は訪れないと思いますよ」


「そのアランが一番危険なのです」


「何の事ですか」


「バースも昨日は西の方へ行ったみたいです、男なんてオークと一緒でそんな物です」


「そうなんですか・・・・、オークと一緒ですか・・・・それでも良いかも」といってサンドラは顔お赤らめている。


「何を言っているのですがサンドラ様、気を確かに」


「ゴホン、俺たちを監視していたという事で良いのかな」


「良いも、悪いもありません、これが私の使命です」


「それではここでサンドラを渡しても良いですか」


「今このままにすると危険な状態なのでこちらで預かります」


 本人のサンドラは赤い顔でボーとしている。


「サンドラ大丈夫か」


「大丈夫です、どこへ共ご一緒させていただきます」


「サンドラ様帰りますよ、それでは失礼します アラン」とアニスは何か怒っている。


 これはこれで大変かも・・・朝、レイに言われた、自分はどうしたいか決めかねている・・・、俺たちはここを攻略するまで出れないが、サンドラとアニスはレベルがカンストすれば出れる、今レベルは50を超えているから10年以内にカンストは難しくない、年齢もあと10年だとサンドラが26歳以下で出れるはずだ、世間では少し結婚には遅い年齢だがA級のレベルカンスト者で貴族だと王族でも結婚を申し込む事があると思うと、そんな良い所のお嬢様のサンドラとそういう関係になるという勇気は俺にはない無い。


 何かもやっとするが今はダンジョンだ、攻略を進め剣を見つけるしかない。


 次の日、レイは朝から出かけた、ゴンも一緒に出掛けた、レイはお姉さんとデートって言ってたのにゴンも一緒って何だ。


 バースは趣味の魔法研究と錬金術を教えてもらう所に行くらしい、俺は一人暇で趣味もないので又資料館へ行って資料を読んで一日をゆっくり過ごす予定だ。


 資料館に行ってドロップ品の資料を読んでいると、過去にも帰還石が発見されていて、それもいま最前線の人達が戦っているキングの階と呼ばれている地下十五階でドロップした、地下十五階のオーガキングそれも黒いオーガキングからドロップしたと書いてあった。


 前回、移転石を調べた時には気が付かなかったがこれも十階に行ったからか、この十五階のオークキングは肉ときんの玉以外に十階にだけ行ける帰還石もドロップするらしいが、今の所攻略中のチームにはドロップしていないのか隠しているのか情報は無い。


「アラン・・・」と声がしたので振り返るとサンドラが居た。


「今日も来たのですか」


「私はどこも行くところが無いので自分の魔法について調べるために来ました」


「そうですか、今日、アニスはどうしているのですか」


「アニスは用事がある様でここの前で別れましたから今日は隠れて付いて来ていないですよ」


「その様ですね・・・・」


「何ですか」


「何でも有りません」と言って資料に目を向けた。


 サンドラが資料を持って俺の横に座った、何かいい匂いがする、いかんいかん資料に集中だ。


 その後昼まで資料を読んだか隣のサンドラの事が気になり、資料の内容が頭に入って来ない・・・、隣のサンドラは普通にしている様に見える。


「今日も一緒にお昼を食べに行くか」と昼を大分過ぎていたがサンドラに声をかけた。


「何処が良いですかね、珍しい食べ物は昨日の食堂にも有りましたよ」


「何か有ったか・・・全然覚えて無い」


「行って見ますか」


 二人で昨日のグラタンを食べた食堂へ来た。


「これですよ、今女の子に流行っているそうです」


「これパンですか」


「これはパンケーキというそうです、白いのがクリームで茶色のはキラービーンのはちみつだそうです」


「だからこの値段ですか」


「ちょっとお高いですかね」


「私達の稼ぎを考えるとそんなに高くないですかね」と言ってから最近金銭感覚がおかしくなっていることに気が付いた、カウのステーキ何枚分がこのパンケーキと言われている物の値段だ、昔ウルフの肉を食べている時には思いもよらなかった。


「これは本当に美味しい、甘い、美味しいですね」


「そうですね、このふわふわの白い物がこのパンとはちみつによく合ってとても美味しいですね、私の実家でも食べたことが無い物です」


「小麦粉以外の材料はすべて地下十階以降でドロップする物らしいですよ、そのために値段は高めになっているらしいです」


「そうなんですか、我々にはまだドロップしていない物ばかりですね」


「誰かのドロップ品でも美味しいです」


 軽めの昼食だったが夜には又焼肉屋に行く予定なのでちょうど良い、もう少し焼肉屋の肉を消費しないとならない。


 サンドラが帰ると言うので送って行く事になった、一緒の建物なので一緒に帰るだけだ。


 帰る途中でゴンとレイに会った・・・、ゴンとレイ女の子、少し年上の女の子と一緒に居た、ダブルデートですか・・ゴン大丈夫か・・ゴンの腕に女の人がベッタリ着いている、レイは女の人とは軽く腕を絡めている。


 レイが軽く手を振って来て、腕を指さしている、俺にも腕を、それをすれと言っているのか・・・。


 サンドラが俺の腕に腕を絡めて来た・・・、サンドラさんにレイが言ったのではないと思いますが・・・・、緊張しますが仕方ありません、そのままにします、そのままにさせていただきます、そのままが良いです、ちょっと腕がサンドラの胸に当たってたのは内緒です。


 少し緊張したがあっという間に宿舎に帰って来た、部屋の前で手を放して別れたがこれで良かったのか・・・。


 夕方、焼肉屋にパーティ全員で向かった。


「おやじ、俺はオークメイジの肉を食うぞ」とバースが言った、前回あんな事になったのに又食べるとは・・・。

「僕も食べるかな」とレイも言った・・・、他には居ない様だ。


 オークメイジの肉が出て来て食べ始めている、俺はオーク戦士の肉とカウの肉を食べている。


 よく見るとゴンちゃんもオークメイジの肉を食べている・・・・食べて無いのは俺と女子だけか。


「オークメイジの肉ってアレの肉ですよね」とアニスが言った。


「あれって何んですか」とサンドラが言うと小さな声で「後から教えます」と言っていた。


 まー、みなさんそういう事ですか。また俺だけ遅れています、レベル上げの時も最後にレベルが上がるので仕方ありません。


 俺がトイレから帰って来たらサンドラに「アレンさんは食べては駄目ですからね」と言われた。


 なんのための肉か知られた様だ・・・・。


 部屋に帰って独りぼっちだった・・・みんなは朝までに帰るそうだ。


 俺だけなんでそうなっている、みんなは朝帰りしても明日の出発準備は終わっている、荷物はレイが持っているので後は雑貨屋へ行って荷物を受け取ってからダンジョンに入っるだけで戦闘は俺がする、地下十階までは罠は無いので寝ながら歩いても大丈夫ってか・・・。


 夜、ベッドに入って寝たが何か寝られない・・・、俺だって男だ女とイチャイチャしたいぞ、でもバースと一緒に行ったら明日から女の子達に態度がどうなるか怖い、最悪パーティ崩壊になったら困る。


「サンドラ様、ご機嫌ですね」


「何の事ですか」


「アランがオークメイジの焼肉を食べなかった事です」


「そんなことは関係無いです」


「何か有りました」


「地上で初めて手を繋ぎました」


「誰とですか」


「もちろんアラン様とです」


「いつですか」


「今日も資料館に行ったら居りました、それから一緒に昼食にパンケーキを食べてその後手を繋いで帰って来ました」


「部屋の中に入れたのですか」


「残念ですが扉の前で別れました」


「そうですか・・・」ちょっと目を話すとアランは何をして来るのだ、絶対にもうサンドラ様を一人にはしないとここに誓う。


 サンドラ様はきっとアランに迫られた拒絶はしないだろう、まだキスもしていないのでそこまで行くとは思えないが、盛り上がった炎は簡単に消せない、そのまま最後まで行くかも知れない、そんなことは私が断じてさせない。

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