手のひらを太陽に

彼は僕らの劣化の象徴

別に彼が悪人なわけじゃない

政治のことなんかどうでもいい、という、

その意識が生み出したもの


もしも僕らがまともだったら

彼なんてとっくに消えてる

この国の劣化は僕ら自身の劣化

彼がどうこうなんて話じゃない


やらなきゃいけないことをやらなかった僕らだもの

“何にも考えない”をやるに決まってる

どうやらそのツケが廻ってきたようだ


彼に従っていれば安心、安全

僕のご主人様に逆らうと酷いぞ!

しかしながら彼は不死身でもなんでもない

そこを見抜けなかったのがあなたの敗因


もうあなたの言うことを聞く人は誰もいない

……こともない “よく知らない人”とか

そうして歴史は繰り返されてゆくのだろう

やっぱり僕らの側に問題があるのだ


いつかみんな彼を憎むのかもしれない

なぜこんな酷いことをしたのか、と

だけど彼を選んだ自分の責任は考えない

そう彼を選んだ自分の責任は考えない


俺は別に彼を支持してはいない、

ただあいつがだらしないから、

だから仕方なく彼を支持してたんだ、

だから俺のせいじゃない俺は悪くない、

全部あいつのせいなんだ


俺は騙されていたんだ、

騙されていたからには騙したやつがいるんだ、

だから悪いのは騙したやつ、

だから騙されてしまっただけの俺は何も悪くない


自己責任は無責任

成功したら自分のお陰で失敗したら人のせい

責任は痛感すればよくて取らなくても構わない


彼は結局王様にはなれなかった

単に周りがお膳立てをしてただけだ

しかし結局のところ、俺も彼を支持していたのだろう

“新生”が欲しくて、そのための“終焉”をと

そんなもの、自分で勝手に始めればよかったのに


翻って彼は他人を支配することばかり考えて

自分で自分を支配することに興味がなかった

要は自己管理能力のなさ、それがこの混沌の全ての原因

そしてそれはみんなそう

だからくるくるくると掌返し


”どうすれば不幸にならないか”と守ってばかり

“どうすれば幸せになれるか”と攻めの姿勢にはなれなくて


彼を支持していたのは間違いなく、“僕ら”

みんな自分自身のことに興味がなさすぎたんだ

だからみんな良くも悪くも彼を王様だと思った

そしたら、“自分は何もできないただの人間だ”と

自分の責任を投げ出せるから


何度でも言う

誰もが彼を“そのまま”にした自分の責任については追及しない

僕らはどうしようもない馬鹿野郎どもだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

GOOD-BYE STARWEATHER -EXTROVERSION CASE- 横谷昌資 @ycy21M38stc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ