GOOD-BYE STARWEATHER -EXTROVERSION CASE-

スイッチがあったら

よもやまさかの展開

スイッチを“押さない”とは

どうやら俺もまだまだだった

俺は俺であなたと同じように

彼のことを“すごい人”だと思っていて

いやはや買い被っていたようだ

てっきり日本支配、世界征服を夢見てるのかと思ったら

“夢見てるだけ”だったとは

独裁者も大変よ

人権を支配する、ということは

人権を管理する、ということでもある

要は、例えば外出禁止を命じる場合、

その分の生活の保証をしなければならないわけで

彼にはそんな管理能力はなかった

そうよね、じゃなきゃ“お友達だから”って

ただそれだけの理由で友達を助けないわな

友達を大切にする

人としては素晴らしいこと

そんな人柄が支持されるのかも

そう単純に“いい人”

でもこの場合利益誘導だ

要するに依怙贔屓

でも、世の中そんなものではある

我々は基本、客観的指標の存在しない世界で生きている

“なんかこっちの方が良さそう”とか

“なんだかあいつ気に入らない”とか

そういう些細なつまらないことで

我々は重大な物事を適当に選んでしまっているものだ

ということを理解していなければならない

それが王様の責任だ

ちょっとお馬鹿で性格に難あり

でも家族や友達を大切にするいい人

でもそれは王様には関係のないことなのよ

王様は嫌いな人も助けなきゃならないのだから

彼にはそんな責任感はなかった

そうよね、じゃなきゃ公文書の破棄や改竄なんかするわけないわな

どうにもならなくなったら

力で押し切るしかなくなる

でも、強すぎる力は

幸福だけを運んでくるわけではない

その時、死神はやってくる

しかし、スイッチがあったら

絶対に押すと思ったんだけど

俺も空気に飲み込まれてたようで

彼も所詮ただの一人の人間だというのに