ジョン・ドゥー／人間？

ジョン・ドゥー／人間？

道端で見かけたものに対してしばしば、こういう言葉を使うのを聞く。

いやだ、ゴキブリ！

あの馬はなんて足が速いんだ。

可愛らしい猫ちゃんね。

嫌なのは、どのゴキブリ？

早いのはどの馬？

可愛いのはどの猫ちゃん？

それともすべてにこの形容詞は適用されるのであろうか？

即ちこういうことか。

いやだ、昆虫綱ゴキブリ目（シロアリ以外）だわ！

あの哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属はなんて足が速いんだ。

可愛らしい食肉目ネコ科ネコ属（リビアヤマネコが家畜化されたもの）ね。

確かに長い。

早口言葉のようだし、すべて聞いていたら日が暮れそうだ。

しかし本当にこれで合っているのであろうか。

では、ある個別のものを指しているのであろうか？

いやだ、ジョゼフィーヌ！

あのマイケルはなんて足が速いんだ。

可愛らしいエイヴェリーちゃんね。

一々知らないものに名前を付けるだなんて、何と奇特なひとなのか。

まったく、どちらを聞いてもしっくりこない。

言葉とは難しいものだ。