四季の雨 ~折々の風情と共に~

雨の気配、雨を想い、雨と共に

早春のつぼみをほどくしとやかに


しむコサージュに落つ涙とも


春のよい袖引く君に傘を置き


あざやかに空が洗われ山笑う


萌えいづる若葉をうつすレンズかな


逃げ込んだ葉桜からもしたたりて


矢のごとし低く滑空かっくう夏燕なつつばめ


ぼとけこけしげる寺寂寂せきせき


山と見え島とも見える夏の雲


屋根を打つ激しきりつや夏の夕


雷鳴に首をすくめるかえるかな


野分のわき過ぎ月を眺めて人心地


願い事「晴れて恋こい」七夕に


はげしくも夕焼け紅く明日あすは晴


こんな日はひねもす読書秋深く


きつねさん嫁入りどこへ秋の山


抱き寄せた軒下に濃く白い息


山茶花さざんかが夕べに濡れる帰り道


六花ろっかとはならないものか窓眺め


音消えて夜半よわには雪が深々しんしん

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