ノスタルジックな作品であると、そう
信じていた…。
子供の頃には『怪談』が身の回りに
溢れていた。特に、学校にはどういう訳か
必ず何某かの怪談がある。
鏡の前で作法通りに『お化け』を呼び出す
その遊びは、当然のように結果を伴う事も
なく、又これといった背景も謂れもない。
そしてこれ又、自然に熱が退いてゆく。
この段階で 不自然さ に、一体
どれだけの読み手が気付ける事か…。
長じた主人公が、ふとした切っ掛けを以て
それ に気がつく。最初は只、漠然とした
違和感、或いは不穏な予感として。
その後の怒濤の恐怖は、是非とも読んで
実際に 体験 して欲しいのだ。
但し、ひとつ留意して。
鏡の前で作法通りに『お化け』を呼び出す
その降霊術は、当然のように縛霊が顕現し
又、参加者には事前に背景、謂れを共有。
そしてこれ又、恐怖は静かに膾炙する。
訪いには必ず、返礼を。