君が星になった日

柳田 雪

月曜日

「1週間後、私は星になるの」

誰もいなくなった教室で、突然君はそう言った。


クラスメイトにいきなり放課後呼び出された。

最初は冗談でも言っているのではないかと疑ったが、どうやら本気らしい。

「だからね!この1週間、美しい星になるための手伝いをして欲しいの!」

彼女は満面の笑みを浮かべながら言う。正直断ろうかと思ったが、断ったら余計めんどうな事になりそうなので協力してあげることにした。

「それで?1週間僕は何をしたらいいの?」

彼女はチョークを手に取り、淡々と文字を書き進めた。


毎日一緒に帰る

一緒に海に行く

寝落ち電話をする

カラオケに行く

お泊まり会をする

遊園地に行く

水族館でイルカショーを見る

ライブに行く

手を繋ぐ


徐々に黒板が文字で埋まっていく。

これは手伝いなのか…?さすがに1週間でこれだけの事をするのは無理がある。

「一緒に帰るって…

クラスメイトに変な勘違いされたらどうするのさ。僕はどうしようも出来ないよ」

「大丈夫 大丈夫!その時はなんとかいい感じに誤魔化せばいいし!」

そういう問題じゃない。

そもそも彼女、速水 美里はやみ みさとは今で言う陽キャというやつだ。陰キャの僕とつるんでいたら彼女もなんて言われるか分からない。しかし、協力すると言ってしまったからには、もう後戻りは出来ない。

「ということで!今日から1週間!私の手伝いをして貰うから、改めてよろしくね!琴山 瞬ことやま しゅんくん!」


1週間僕は彼女の手伝いをすることになった。


帰り道、僕は彼女と連絡先を交換した。

もしものためらしい。

家に帰ると、さっそく速水からメールが届いていた。


【みさと】

やっほー!琴山くん!

今日は手伝いを引き受けてくれてありがとう^^

1週間後、どんな星よりも美しくて1番輝いていた星になれるように頑張るね!じゃあ明日もよろしく!

おやすみなさい


彼女らしい文章。

僕は適当に返事を打ち、メールを返す。

さて、僕は明日どうしようか、そう考えながら夜を過ごした。








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君が星になった日 柳田 雪 @yanagida_

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