第1章 暴走少女 52

 目標に向かって駆けていく黒入はある疑問を持つ。

 十四メーターある電柱に上って、五百メートル先の獲物を見落とすか?

 それでは上った意味がまるでない。いや、


 真面目な話、身体強化ブーストがかかっている状態で、獲物を見落としたことが無い。これは僕が密かに自慢できることだ。絶対に見落とした要因はあるはずだ。

 要因を見つけなければ、近づいたとて見落とすことになりかねない。戦闘でも大幅な不利を背負うことになる。


 例えば、囮術デコイ。この線は無い。断言できる。カナリアさんが探知した時点でその可能性はあり得ない。


 例えば、魔防壁の一種の妨害術ジャミング。これはあり得る。魔防壁までは探知できない。ましてや、こちらの認識をズラす妨害術を使っているのであればなおさらだ。この場合、戦闘になるかもどうかも怪しい。認識をズラされ続けられるからね。


 例えば、その他の超常的な能力スペシャル。防ぎようがない。こうなれば相手有利のターンが永遠に続くゲームだ。クソゲー。


 状況整理したところで、結局詰んでそうな感じだった。

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暁の地平線 しがない書き手 @ko-haruko

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