第84話 整理整頓が得意?
日本には、人の性格を天然と呼ぶ習慣があるらしいが、少し人を馬鹿にしている表現だと思う。しかし、私の妻が、これの表現に落ち入ると思われても仕方がない様な行動をした事が何度かある。一つは、最近、緋雪さんの冷蔵庫に貼ってある料理のレシピに関するエッセイを読んで思い出した。
https://kakuyomu.jp/works/16818093076641318213/episodes/16818093079703597335
我が家にも、冷蔵庫に貼ってあったり、キッチンのテーブルの横の小さな収納に投げ込まれた手書きのレシピがいくつかあった。ある時(パンデミックで暇にでもなり過ぎたのか)、妻がAmazonで立派なファイルフォールダーを二冊も購入した。それは、リングバインダーの様な物で、各ページが透明なクリアファイルで、レシピが書き込まれ紙を他入れることができた。妻はこれに、どんどんとレシピをまとめて行った。以前は、冷蔵庫や収納のどの位置にどんなレシピがあるかを自覚していた自分には、ページを捲って必要なレシピを探すのが面倒くさくなってしまったと思った。ところが、それだけでは終わらなかったのである。冷蔵庫が綺麗になり、収納も整頓されて気分が良くなった妻は、このレシピホールダーをもっと優れた物にすると張り切って、ネットで調べて、食べたい物のレシピをプリントしてバインダーに投げ込み始めたのであった。すると、一冊では足りず、レシピホールダーは二冊になってしまった。今までに作った事がないレシピが半分以上になってしまった。まずは二冊のうちのどちらに収納されているのかもわからない。ここまで来ると知らないレシピが多すぎて、私は古いレシピを見つける気もしないので、ネット検索している。最近の英語のレシピを紹介するWEBページは、簡潔にレシピを紹介すのではなく、長々といらない事が書いてあるので、腹が立つ事もおおい。ビデオに飛ばさせようとするサイトも多い。
レシピではないが、妻は、以前、似た様な事をしでかした事があった。我が家の古い写真のネガは現像して貰った時に渡された包装と一緒に保存していた。しかし、この保存方法を気に入らなかった妻は、ネガのフィルムをハサミで切って、写真と一緒にアルバムへ保存するという「天才的な?」保存方法を開発してしまった。ネガが収納されていた袋等はゴミになってしまった。問題は、古いネガの収納には日付が撃ってあったので、いつ現像されたかが分かったのだが、写真と新たに切り分けられたネガが収納されたアルバムにはほとんどの日付情報は書き留められてはいなく、年代順に並んでいない写真も多かった。お陰で、多くの写真の年代がプラスマイナス2年から5年とかでしか思い出せないものも出てきた。この様な状態になったネガを見て、怒った私が、彼女に、どうやってこれらの写真が撮られた時期を思い出すのかと尋ねると、元々日付は分からなかったではないかと言われた。写真のネガを確認して、その収納に書いてある日付で分かっていたと言うと、彼女はそんな情報があったとは知らなかったと言ってきた。英語で言う、髪の毛を引き抜きたくなる様な感情になってしまった。本人はこの制度は素晴らしいと誇りに思っていた。まあ、幸いにも、結婚記念日だけは2人とも覚えているので、あの日の写真の日付は分かっている。
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