最終話 姫様は爺やで遊ぶ
姫「こまったのぅ、すっかり敵に囲まれてしもた」
影長「困りましたね、姫様。まさか、となりの武将が攻めて来るとは」
姫「越後屋に作らせていた、例の兵器はまだこんのかのぅ…」
影衆「姫、完成品をお持ちしました」
爺「おぉ!大砲ですか!姫様、そんな高いものを良く用意できましたな」
姫「微妙に違う、これは大砲ではない。よって、弾は鉄の塊ではないぞえ」
爺「まさか…、そんな」
姫「影を一人、装填せよ!」
影長「御意!」
爺「やっぱりかぁ!この地はもう終わりじゃぁ」
発射された影の小太刀がきらりと光って、雷光の様な線を描いて飛んでいく。
そして、突撃してきた馬ごとバラバラになって落ちていく。
姫「いい感じに、できとるの。影長、大儀であるぞよ」
爺「威力ヤバ!これならいけますぞ」
影長「すみませんが、問題発生です姫」
姫「どうした、やはり急造品じゃから問題がしょうじたのかえ」
影長「発射する為の影衆が、辞職して逃げました」
姫「ふむ、致し方ない。それでは、これはもう使えぬな」
影長「ついでに、ご家来衆も投降を始めております」
姫「ふーむ、面白くないのぅ。しかし、辞めるのは自由じゃ」
爺「忠節の欠片も無い!」
影長「忠節で飯は食えません故、命あってのものだねと言いますし」
いそいそと、逃げ支度を始める影長。
姫「影長、今までごくろうであった」
影長「姫様も共に参りましょう、命あってのものだねと言いますし」
姫「影長…、お主」
爺「えぇい、弾が無いのならワシがなる。お家の為、忠義をみせてやるわい!」
姫「爺や、無理はせんでよいのだぞ…」
爺「姫様、爺やは貴女様に振り回されながらも楽しかったですぞ」
影長「二時の方向にうち出すぞ家老殿、上手くやれたら大将首ですよ」
爺「影長、お主…。姫様を頼んだぞ!」
無言で、頭を下げる影長。
ぎゅっと影長の足を握る姫、爺やはにこりと笑って砲身に入った。
姫「爺…、達者でな」
爺「何、この爺はタダでは死にませぬ。必ずや、大将首をもらいうけてみせます」
影長「俺が、責任をもって照準は合わせる。後は、家老殿がやり遂げるだけでござるよ」
爺「それでは、いざ参る!!」
影長がハンドルを回して照準を合わせ、導火線に火をつけた。
姫「影衆、そろそろ出てきても良いぞ!」
爺「何っ!!」
そこには、(逝くのは家老だけ)と書かれた横断幕が。
姫「爺、ぐっとらっくじゃ」
爺「おのれ、姫様はかったな!」
影長「名演技でしたよ、姫」
にっこりと親指をたてる、影長。
姫「うむ、だいたい母上が御存命なのにこの城が落ちる訳がないしのぅ」
影長「我らが、このタイミングで辞職などするわけがないですし(にっこり」
そして、導火線が無くなって……。
姫「爺や砲、発射!」
影衆&影長「「発射!!」」
爺「ちょっおまっ!そんな、ご無体な」
※発射された爺やを全員で敬礼で見送る。
姫「影長、爺が逝ったら氷菓子でもどうじゃ」
影長「良いですね!」
姫「越後屋に冷えたフルーツ一杯用意させて、のせて楽しもうのぅ♪」
影長「越後屋~、姫様と我らに氷菓子を用意いたせ!」
こうして、姫様と影達は美味しく氷菓子を召し上がりながら爺が飛行機雲を作る様をみつつ楽しんだという。
姫「大体攻め込むように言ったのは、わらわじゃしの」
おしまい
とある姫様と苦労爺 めいき~ @meikjy
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