第16話 融合

me2

「さっきは見苦しいところを見せてしまったわね。」

メノウが眠っているモフモフ、猫羊を抱きしめながら言った。

髪の毛が少し乱れている。

残りの猫羊たちも草原で眠っている。

私が眠りの魔法具で眠らせたのだ。

「アハハハッ 」

私は苦笑いする。

「 でも、モフモフが好きな気持ちはわかるわよ。私も、何匹かモフモフを持ってるし 」

「 えっ」

メノウがどういうこと?と言いたげな訝しげな表情をする。

「はい 」

そう言って、私はクマや猫やなどの縫いぐるみを幾つか取り出す。


「 これ、あなたにあげるわ。」

「凄い可愛い、いいの? 」

私はうなずく。

「 私も異世界転生する前、いや故郷の国にいた時は、屋内型テーマパークなどへよく行ったわ。 」

「 テーマパーク?」

「 モフモフがたくさんいる楽園の事よ 」

私は適当に事実を変えて言った。

「 そう。私も行ってみたいわ」

「 そうね。日本にはもう帰れないけど世界が平和になったら作って見るのもいわね」

「 作れるの ?」

私はうなずく。

そうだな。ここにいる猫羊たちの毛を使ってモフモフの着ぐるみでも作ろう。

でもそれを知ったらこのお嬢様はきっと怒るだろうな。

「その時はあなたにも協力してもらうわ 」

「もちろんよ 」

そう言って私たちは意気投合して手をつなぎ合う。

なんと、最初仲が悪かった私たちだがモフモフたちのお陰で友情が芽生えるとは。

 モフモフたちには感謝せねば。

 これだけ友情を感じたのは、エレス以来だ。フィルにも興味があるがそれは可愛い後輩というか愛玩動物としてだ。

 メノウは高貴なご令嬢だが、胸の内に秘める灼熱の炎のような情熱が垣間見える。

 それはもと皇族の天才冒険者、エレスの灼熱にも会い通じるものがある。

 それだけに彼女がモフモフで錯乱したといかご乱心なさったのは衝撃的だった。


「それにしても、魔法具なしでは魔法の使えない女性冒険者なんて、珍しいわよね。

この魔力を攻撃力に変える剣、ウィザード・ソードは、本来あなたのような剣技に優れた者が使うべき剣なのに 」

「 しょうがないわ。私の職業は、村人A、最下級冒険者にすぎないのだから。このアイテムボックスも 」

このアイテムボックスも、秩序の女神から与えられた特例の贈り物に過ぎないーそう言おうとして口を閉ざした。

 「それなら、魔法紋をその手に刻んでみたら?」

「魔法紋? 」

「 そう、魔法紋を刻印すると1つの魔法紋に1つだけ魔法が使えるわ。もっとも、体への負担が大きすぎるから最初は1つしか刻めないけど。」

「 1つだけ?」

「そう、でも例え1つでも、これで装備できる魔法具が1つ増えるわ 」

そうか、魔法具と併用すれば、使える魔法や能力の選択肢が増えるというわけだ。

「それは、そうだけど、どうすればいいの? 」

「 魔法紋の刻印は、私たち魔法使いの名家の秘術でもあるわ。良かったら、私が刻印してあげる。」

「 本当!!ぜひお願いするわ!!」

私は二つ返事で了承した。

「刻印する魔法は、あなたが常時装備している魔法具と同じ、身体能力強化の魔法、スピリトゥスでいいわね?」

私は頷く。

「それじゃあまず、腕を出して 」

メノウは真っ直ぐ伸ばした私の腕を掴むと、何かの呪文を唱えはじめた。

「Ignelle, Senjans, Kanerutamijite, Kurshaaaa 」

そして、指で空中に何かの文字や図形を描くと、私の手の甲に光の紋様が浮かびあがる。

メノウがさらに指で文字を描くと、私の手の甲の紋様が腕へと伝ってどんどん伸びていく。

私の左腕が光り輝く。

目が眩む。

そして、手の甲から光の紋様は消えていた。

「 失敗したの?」「いいえ、成功したわ。戦闘の際には自動的に発動するようにしておいたから」

「そう、メノウってけっこう気がきくのね 」

「ウィザードソードを貸してくれたお礼よ。あなたも、頑張るのよ 」

メノウがウインクする。


私たちは、エレスたちと合流するため上階と下界をつなぐ巨大な通路の中へと入っていった。

巨大な通路は硬い鉱石によって覆われた巨大な洞窟だった。

スピリトゥスを使う事ができる、身体能力強化の魔法具を装備しなくてもすんだ私は、変わりに魔導力探知の魔法具、マジックレイダーを装備した。

 エレスたちを見つけるためである。

「 おかしいわ、魔物の数が少ない 」

 洞窟の中に入って数十分後、メノウが呟いた。

ピピィィイイイイ

魔導力探知の魔法具、マジックレイダーーが反応した。

 「レイダーが反応した 」

「 遊撃隊? 」

「 違う、エレスたちじゃない。これは 」

そう言って私は戦慄した。

魔導力が圧倒的に強い。ということはー

「 暗黒魔導士 !!」

そう言って、メノウがレイダーの反応した方向に駆け出した。

「 駄目!!メノウ!!遊撃部隊と合流するのよ!! 」

この魔導力、私たち2人だけではかなり不利だ。

勝てたとしてもメノウが死ぬ。

駆け出したメノウは、巨大な岩陰に隠れた。

私もその隣に隠れる。

前方に、黒いローブを着た祭司、暗黒魔導士がいた。

その周囲に、5人の帝国騎士たちがいる。

「撤退する? 」

帝国騎士の1人が言った。

「そうだ。そろそろ、王国の送り込んだ遊撃部隊がここに到着する頃だろう。今のうちにここを離れる。 」

暗黒魔導士が答える。

「 しかし、それでは計画が? 」

「何、心配するな。隠し通路を使って地上に戻った後には、またほかのダンジョンから魔物を送り込めばいいだけの事。ダンジョンは、幾らでもあるのだから 」

ちっ、連中め、散々魔物を送り込んだあげく

逃げる気だ。

しかし、私たち2人では不利だ。

メノウ、ここは引くわよ、そう言おうとした瞬間ー

「 いいえ!!逃さないわ!!連中はここで私が倒す!! 」

そう言うと、メノウは魔法の杖をかかげて上級炎魔法メガフレイムを発射した。

「魔法の杖!?いつのまに!? 」

メノウはいつのまにか自分のアイテムボックスにウィザードソードをしまい、変わりに魔法の杖を取り出していた。

魔法の杖のほうが魔法力が強い。

メノウの魔法の杖から、巨大な炎と光の塊、メガフレイムが発射され、大爆発が起きる。

「うわぁぉぁああああ 」

爆炎が敵を包み込む。

帝国騎士たちが悲鳴をあげて消滅する。

爆炎が消える。

しかし、そこには鎧を身にまとった巨体の騎士が立っていた。

暗黒の剣を持ち、首から上がない。

デュラハンだ。

そして、前方には巨大な魔法の障壁が出現している。

「そ、そんな、アンチマジック・シールド。遠隔魔法効果無効の鎧を着ている 」

メノウが声を震わせながら言った。

遠隔魔法効果無効の鎧は、魔法攻撃を喰らう瞬間魔法の障壁を生み出す事ができる。

そして、すべての遠隔魔法を遮断する防御壁となる。

つまり、魔法の杖を使ったメノウの得意な遠隔魔法はすべて封じられた事を意味する。

使えるのは接近戦による物理攻撃か、物理攻撃を融合させた魔法剣による攻撃のみ。

しかし、メノウの剣技は、素人以下である。

そしてデュラハンは彷徨える古の騎士の亡霊である。メノウに勝てる訳がない。

デュラハンの後ろで、その魔物を召喚した暗黒魔導士がほくそ笑む。

そして、洞窟の壁と融合して姿を消した。

しかし、ショックを受けたメノウにはもはや魔導士を追う気力は残ってなかった。

デュラハンが剣を振り上げ迫って来る。

「 メノウ!!逃げなさい。」

メノウにつけてもらった魔法紋が発動し、私の身体能力が強化される。

以前つけていた魔法具のスピリトゥスよりも格段強い。

私はメノウを突き飛ばすと、デュラハンの剣を剣で受け止める。

キィィーン

手が痺れる。

スピリトゥスの魔法紋がなければ、魔法具のスピリトゥスの魔法効果では耐えきれずに吹き飛ばされていたかもしれない。

デュラハンの2撃目を私は払い除けると、あえて剣を捨てて蹴りを放つ。

剣を捨てたのはより早く動くためである。

だがその蹴りは、左手の鋼鉄の盾で防がれてしまう。

武器を持たない無防備な私に右手の暗黒剣が振り下ろさせる瞬間、私は蹴りの反動を使って後方上空へ跳躍する。

私は空中を飛びながら、アイテムボックスから3種類のスライムを8匹取り出す。

そして、操り人形の魔法具で意識に接続しスライムを操る。

レッド、ブルー、イエローのスライムが空中に跳ね上がり、デュラハンに飛びかかる。

私が反回転して地上に着地すると同時に、4匹のスライムが盾で弾かれ、4匹のスライムが剣で真っ二つにされる。

 さらに私は10匹のサラマンダーと、10匹の3色巨大ウサギ、さらに10匹の3色巨大ガエルをボックスから取り出した。

30匹の魔物が同時にデュラハンに襲いかかる。だが、ほぼ数秒のうちに蹴散らされ、絶滅させられた。

「ヤツの動きが速い!!それなら!!」

私はスライムを40匹取り出した。

空中に跳ね上がるスライムでデュラハンの周囲を取り囲む。

そして、全員のスライムの口から粘液を吐き出させた。

大量の粘液がデュラハンの巨体にまとわりつく。

粘液のネバネバでデュラハンは動きが取れなくなる。

チャンスだ!!

しかし、100匹近い魔物たちの意識を乗っ取り連続して操つった私の精神力と体力は、限界に来ていた。

スライムなどの魔物たちは、操り人形の魔法マニピュレイトに魔法耐性などで抵抗してくる。

それに打ち勝つためこの魔法は非常に大きな精神力を消耗するのだ。

トドメをさそうとボックスから剣を取り出した私の膝が疲労で地面につく。

「マリー、トドメは私が刺すわ!! 」

そう言って、私の後ろからメノウがデュラハンに向かって走り出した。

手にはウィザードソードを持っている。

デュラハンが暗黒剣を掲げる。

そして、剣からは漆黒の炎が燃え盛る。

!!まずい!!

「駄目よ!!メノウ!! 」

漆黒の炎はスライムの粘液に燃え移り、粘液を燃やしてしまう。

デュラハンが剣を振り下ろす。

私はメノウに飛びつく。

ダークフレイムソード

デュラハンの魔法剣が岩に命中し、大爆発を起こす。

「 きゃあぁぁぁああ」

暗黒の炎は岩を砕き、爆発させ、その破片がメノウをかばう私の身体に幾つも突き刺さる。

骨を砕く。

私はメノウを抱きしめたまま吹き飛ばされ、2人で地面を転がる。

私はすぐさま立ち上がろうとするが、足の骨がひび割れてる。右腕の骨も、あと、岩の破片が幾つも内臓に食い込んでいる。


私はスライムを操り、デュラハンを攻撃させる。

40匹のスライムたちが次々とデュラハンに飛びかかるが、返り討ちにあっていく。

全滅するのは時間の問題だ。

「 マリー!!」

メノウはどうやら無事だったらしい。

私が剣を振れるのは2、3回が限度だ。

良くて相打ち、最悪死ぬかもしれない。

だが、メノウを逃がすにはそれで充分だ。

死ぬとしたらたぶんそれは、メノウだと思っていたが、どうやらそれは私の事だったかもしれない。

メノウが私に回復治癒魔法をかけるが、この深い傷ではすぐには治らない。

「 マリー、私のせいで」

メノウが自責の念にかられている。

「 メノウ、逃げなさい。」

「 マリー!!」

「 気にしなくていいわ。こうなったのは、最初に私が転移門を踏んだのが原因なんだから」

本当、前世といい今回といい、なんという間の抜けた死に方なんだ。

「 ここで私がヤツを止めるわ。もう、それしか手はない。操れる人形も、もういないし」

「操れる人形なら、ここにいるわ 」

「 えっ?」

メノウが呟いた。

「私を操りなさい。マリー。あなたの剣技と私の魔導力があれば、ヤツとも戦えるわ 」

「でもー」

「私は魔法使いの名家、アインクラッド家の末裔にして偉大な魔法使い、ヴァミューレ・ナディアス・アインクラッドを姉に持つ至高の魔法使い。何も心配する事はないわ 」

そう言ってメノウが微笑む。

なんという気の強さ。いや、なんという強がりか?

私もかなり思いきりのいい性格だが、彼女はそれ以上かもしれない。

「いくわよ!! 」

私が迷っていると、メノウがデュラハンめがけて走り込む。

「待っ!! 」

スライムを全滅させたデュラハンが暗黒剣を振り下ろす。

「アクセス!! 」

私の意識をメノウの意識に接続して、彼女の動きを操る。

メノウはデュラハンの剣を左方向へ払い除ける。

キィィーン

火花が散る。

デュラハンがさらに剣で斬りつける。

メノウは今度はさっきの反対方向へ半回転してデュラハンの剣を右側に払い除ける。

次々とデュラハンが剣撃を放つ。

それをメノウが、いや私の剣技が、左右それぞれに剛腕の剣を受け流して次々と払い除ける。

凄いー

メノウが心のなかで驚いているのがその意識を通して伝わってくる。

デュラハンが古代の騎士の亡霊なら、私は現在の武士の生き残りである。

異世界でただ1人戦い続けるラストサムライと言ってもいい。

破壊力もスピードも敵が圧倒しているが、生前合気道5段だった私の日本古来から伝わる古武術の神秘がヤツの剛腕を翻弄する。

デュラハンが掲げた剣から漆黒の炎が溢れ出す。

魔法剣ダークフレイム・ソードを放つ気だ。

まずい!!

私はメノウを後方に下がらせる。

大丈夫よ!!マリー

そう言って、メノウは魔法耐性によって私の操り人形の糸( 意識 )に逆らい、立ち止まる。

正気か?!

メノウは剣を掲げると、魔法剣を発動させた。

私を信じて剣を振って!!

再び私の意思でメノウの体を操り、その魔法剣を振り下ろす。

ダークフレイムソード

セイントフレイムソード

ほぼ同時に剣が撃ち込まれ、2つの魔法剣が激突する。

漆黒の炎の剣と、メノウが放った聖なる光の炎の魔法剣が激突し、大爆発を起こす。

ピキィイイイーン

破壊力はほぼ互角だが、メノウのウィザード・ソードが砕けてしまった。

次の剣撃をデュラハンが振り下ろす。

メノウは折れた剣を捨てると、地面の上を転がってかわす。

ケアルラ!!

そして、地面を転がりながら回復治癒魔法を唱えて、デュラハンに倒されたスライムたちを回復させる。

スライムは中心の核さえあれば再生する。

デュラハンに輪切りにされたり盾で飛ばされて岩などに激突して潰れたスライムたちが再生して元に戻る。

そして、空中に跳ねて地面に向かって粘液を吐き出した。

地面を転がって逃げるメノウをデュラハンが追ってくる。

その地面に貼り付いた粘液の上を歩くデュラハンの靴に粘液が纏わりつく。

地面を転がるメノウがそのまま地面に寝た状態で蹴りを放つ。

足払いでデュラハンの足を引っ掛ける。

地面に貼り付いた粘液で足元が滑りやすくなっているため、デュラハンはその場で転倒した。

そのスキにメノウは立ち上がる。

メノウ!!

そして私は、アイテムボックスから予備のウィザード・ソードを取り出し、メノウに投げる。

メノウはその剣を受け止める。

デュラハンが立ち上がり漆黒の炎の魔法剣を振って地面に貼り付いた粘液を焼き払う。

あの漆黒の炎の魔法剣を何とかしなければー

「スライム!!」

スライムが跳ね上がる。

私はスライムに命じて、口から水を発射させる。

大量の水がデュラハンに降りかかる。

バシャアー!!

だが、その暗黒の炎は消えない。

デュラハンがメノウに向かってその黒炎の魔法剣を放つ。

メノウは聖なる炎の魔法剣でそれを払い除ける。

真正面から受け止めず、破壊力を受け流したため、剣への負担は少ないが、それでも微かにひび割れる。

やはり、あの黒炎をなんとかしなければ。

しかし、この暗黒の炎は闇属性の炎なので、普通の水では消えない。

それならばー

私はアイテムボックスから、瓶に入った幾つものポーションを取り出す。

そしてその幾つもの瓶詰めのポーションを、スライムめがけて投げつける。

骨がひび割れた右腕が軋んで痛いが、それを我慢して次々とスライムたちに投げつける。

スライムたちはそのポーションを瓶ごと取り込むと、体内でガラスの瓶を溶かして中から液体を取り出す。

そして、今度はそのポーションの液体をデュラハンめがけて発射した。

ポーションには、神聖なる魔法の力が付与されてる。

その神聖なる魔法の純水を浴びたデュラハンの魔剣から、暗黒の炎が消えた。

「 今だ!! 」

メノウがセイントサンダー・ソードの魔法剣でデュラハンを斬りつけた。

ギィエエエエ

ポーションで濡れたデュラハンの体に、聖なる雷の魔法が流れ込む。

デュラハンが盾で反撃した。

盾を喰らったメノウが吹き飛ばさる。

「「 ぐはっ!! 」」

私とメノウが同時に悲鳴をあげる。

メノウのダメージは意識を接続している私の所にも来るのだ。

それを見たデュラハンがメノウの剣技の正体に気がついた。

「 そうか、おまえがこの女を操っていたのか」

デュラハンはそう言うと、メノウを放って私に向かって走ってきた。

私を殺せばメノウの剣技も同時に無力化できる。その事に気がついたのだろう。

「 マリー!!」

メノウは着地すると、私めがてウィザード・ソードを投げた。

私はウィザード・ソードを掴む。

だが、ウィザード・ソードは魔導力を破壊力に変える剣。

魔導力がゼロに近い私が使っても、破壊力が出ない。

意味がない。

本来は。

ウィザード・ソードを受け取った瞬間、魔法紋が光輝き、身体能力強化の魔法、スピリトゥスが発動する。

そして、魔法紋から流れ出る魔導力がウィザード・ソードに流れ込み、魔導力の輝きを見せる。

魔法紋に蓄えられた魔導力では、ウィザード・ソードを使えるのは1回程度。

だが、私にはその1回で充分だった。

スライムたちが再び跳ね上がり、口から粘液を発射する。

その粘液がデュラハンに絡みつく。

神聖な魔導力の浸透したポーションを浴びた暗黒剣は、炎を纏うことができない。

デュラハンは身動きが取れなくなる。

セイントフレイム・ソードー

メノウが私の剣に魔法を付与する。

私の剣から聖なる炎が沸き上がり、私はその剣で斬りつける。

ギシィヤヤヤヤー

デュラハンが断末魔の悲鳴をあげ、消滅した。

ビキィィイイイ

私の右腕が折れた音がした。

「 マリー !!」

メノウがこちらへ走って来た。

「ケアルラ!!」

そして再び回復治癒魔法を私にかける。

「勝った、勝ったわね 」

「 マリーあなた凄いわ。」

「 メノウの魔法剣のおかげよ。アインクラッド家のあなたの力、見届けたわよ 」

「マリー!! 」

そういってメノウは私を抱きしめる。

「 痛たたたッ、メノウ、痛いって!!」

私の折れた右腕に激痛が走った。

そして、このお嬢様、抜けてるな。

私は心の中でそう思った。


































 

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女性異世界転生者、ステータス最弱級の少女冒険者に転生する。大好きな天才少女魔法剣士を救うためなら魔王だって倒せます。どんなに無能な冒険者でも、アイテムボックスと魔法具( 個数限定 )なら使えるのです。 INC @illusionelement

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