主人公のガノンは、蛮人の出身です。その赤髪の大男は、粗末な下着と靴を履き、背中には剣を背負っている、いかにも蛮人然としています。
では、彼は野蛮人なのか。少なくとも彼は、戦士として戦神(せんじん)に信仰を捧げ、自らを蛮人呼ばわりする者を一喝する誇り高い男です。
作品の魅力は大迫力の戦闘シーンです。戦いに入るや否や、まるで講談師が飛び出してきて、その仔細を一気呵成に捲し立てるような臨場感があります。まるで読み手が巻き込まれたような、そんな錯覚すらするのです。
漢、ガノンに惚れました。
お勧めします。
素敵な作品をありがとうございます。
(メモ、長編43、連載中、5話迄読了)
超常の力振るう“闇の眷属”に主たる姫を攫われた近衛部隊戦士長、ローレン・パクスター。彼女は道行きの中で己を救った豪壮なる蛮族、ラーカンツのガノンに同行を願った。しかして眷属の巣窟へ踏み入ったローレンは見るのだ。ガノンの豪剣が強大なる敵を易く断ち割る様を……。やがて王となるガノンの旅路はこれより始まる。
蛮族の超戦士が王位を掴むまでを描く。この構造はヒロイックファンタジーの王道中の王道であり、それだけに主人公の完成度が問われるものでもあります。そして肝心のガノンさん、完成度が高い! 彼に打算は一切ありません。シンプルに太い信念をもって迷いなく剣を振るい、活路を斬り拓いていきます。その過ぎるほどのまっすぐさと強さこそが読者の目を他のキャラクターへ逸らさせず、釘付けにするのです。これほど安心して好きになれる主人公、そうそういませんよ! そんな主人公が描く痛快な戦いの物語も!
王道を楽しみたい方へ、そして王道を知りたい方へ、迷わずおすすめいたします!
(「剣閃き魔法輝くヒロイックファンタジー!!」4選/文=高橋剛)