第31話晴れのち虹―短めバージョン―
「おはよう」
眠そうな顔で挨拶した
窓辺に立つ
窓を開け、初夏の風と光を肌で感じた
「畑日和だな……」
と、嬉しそうに呟く。
「会議の前に畑仕事とは感心だな」
「この頃暑くなってきたから、早めに草むしりとか終わらせようと思って」
「感心だが、悪いことは言わぬ故、畑は会議の後がいいと思うぞ?」
「何故?」
「
「こんなに晴れているのに?」
「まぁ、今にみておれ」
そう言い置いて、
“行動が早い”と呟いた
驚いて、思わず窓から身を乗り出す彼の体に、雨粒が一定のリズムで当たる。
「そう言えば、数ヶ月前に
“今降っている雨の名前は何だろう?”と、考えているところに、
理由を訊ねようと口を開きかけた
案の定、畑は雨のせいで土がぬかるみ、しっかりと立てない。
しかし、そこには兵士が数十人同じ場所に立っている光景を目にして、彼等も
そんなことを考えているとも知らない
「見ろ、呂尚!虹だ!!」
と、興奮気味に伝える。
「本当、綺麗だね!」
「お主達も戦に負けなければ、こんな素敵な虹が何度も見られるぞ」
“だから、死ぬな!”と、
「戦に勝ち続ければ、きっといつかは」
「いつかは……何だ?」
「ううん、なんでもない」
“いつかは、あの王様と……”
いつしか束の間の楽しい時間を与えてくれた虹は消え、兵士共々興奮が覚め止まぬまま、城へと帰って行く。
その道すがら、暑さをさらうような風の中に、
その声はどうやら彼にしか届いていないらしい。
「
いい終えた彼等の気配が消えたことを、肌で感じた
風の色関係の短編集1 淡雪 @AwaYuKI193RY
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