いつかお墓ができるんだ。(千葉沢寧々子のSNS)

いつかお墓ができるんだ。(千葉沢寧々子のSNS)

ログインがうまくできない朝だけど、焦りはなくて、ほっとしている。

昨日から、バスを運転する人がいつもと違う人になってる。

学校の鞄が重い。こんなんじゃいつになっても飛ぶなんて無理。

体育のテニスは好きじゃないけれどテニスボールの音は良すぎる。

雨蛙、頭からお尻まで全部、臓器みたいに照る生々しさ。

でもあたし雨の日だって学校に来てたんだ。七不思議になれる。

保健室、常連だからマキロンの場所もわかるよ。ちょっと塗ってく?

泥色の猫が陽向で寝始めて、ずっと寝ていて、飴が消えたな。

そこ押せば泣くと思った? もうそこじゃ泣かないんだよ。知らなかったの?

待って。いま黒板消しで消したのは、大切なやつ。さようならだね。

食堂で納豆くれた先輩は、もう食堂に来ることはない。

重力が仕事をしてて、少しだけ気を抜いちゃって、スマホが落ちる。

名前消す。黒板消しが白くなる。窓から白の風になってく。

王様の耳の秘密を言うようにSNSで叫んでいるよ。

そんな字を書く人なんだね。キャラ的にパソコンみたく書くと思った。

もしそこに線があったら、こっちには来なくなりそう。寂しい話。

中国の映画を観たよ。三つ編みがすごくよかった。模試は忘れる。

眠ってるあたしのスマホ。忙しい? きのう羊の話したせい?

息、白い。それがあなたの魂で、そういうふうに世界に溶ける。

あたしにもいつかお墓ができるんだ。できたらすぐに連絡するよ。

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