第9話 蛍光灯

【蛍光灯】

私は2人でした

存在してた私と心から嘘をついてた私でした

私は2人だった

抱きあうことができなくても

心で私たちは分かち合っていた

いくつもの出来事に立ち向かった2人でした

苦しくも

悲しくも

嬉しい時でさえ

一緒でした

だけど、私たちは一緒にはいられなくなった

心から嘘をついてた私は

嘘をつくことをやめたくなった

他人がついた嘘の足跡を辿れば辿るほど

存在してた私が消え始める

苦しさが増すたび

私たちは耐えられなくなった


どこからさよならと

言ったかは覚えてはいなくて

気がつけば1人だった


もう1人の私はどこにもいなかった

だけど、悲しくはなかった

居ないということよりも

居るような雰囲気(ふんいき)の方が

怖くて

見つからないことに

示しを付けようと

いつしか、全ての出来事を受け入れて

1人で上手くいくことが多くなっていた

いつからか

「前より変わった」と

「どうしたの」と

言ってたけど、

私は答えられない

もう2人ではないと

もう1人だということを


どこからさよならと

言ったかは覚えてはいなくて

気がつけば1人だった


※これは、ユナカが書いた詩。

もう彼女はいないけど、自分では書くことのできない詩。

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外側の中身 ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet

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