第7話 先輩と一緒に狩り4
15階層に移動した僕たちは、さほど時間をおかずにゴブリンの集団に遭遇した。
その時のゴブリンの数は8匹。
4匹ずつの集団でその空間にいた。
そして先ほどと同じように『ホーリーフィールド』と『ブレス』を使用する。
流石に8対1という状況が基本となっているだけあって、僅かに危ない場面もありはしたが、そこは僕がショックを使って敵との距離を一度作っているので特に問題なし。
加えて、経験値取得によるステータスの上昇により、先輩自身の速度も先ほどよりも上昇しており、流石に4匹を相手にしていた時に比べると、気持ち長めの戦闘が行われた。
しかしそれでも8匹というそこそこの数を、支援魔法があるとはいえど実質一人で対応していたことを考えるとあまりにも短い戦闘時間であった。
「流石に8匹倒してもさっきみたいな力の上り幅は感じなくなってるわね・・・」
「すいません」
「なんで君が謝るのよ?」
と苦笑いしてる。
「それにさっきみたいな力の上り幅を感じてないだけであって、今まで君の経験値増加の魔法が無い時は上り幅なんてしっかり意識してようやく認識できる程度の物でしかなかったもの。
それにくらべれば上り幅が下がっているとはいえど、まだその感覚を感じてるだけやっぱりこのスキルは凄いわ」
「そんなものなんですかね?」
「これ・・・考え方によっては無類の強さを発揮するわよ?」
「そうなんですか?」
「大体強い職ってのはどこかで壁に当たりやすいのよね。経験値の取得効率が悪くなる分どうしてもそうなりやすい。でも君のこの魔法はその常識を完全に破壊するものだわ」
「へぇ~」
「へぇ~・・・って、まあいいわ。それでここから先どうする?」
「そうですね・・・いっそ、もう一度20階層のボス部屋に挑戦してみるというのはどうですかね?」
「理由を聞いても?」
「そのあたりならやろうと思えば僕一人でも問題ないと思いますし、その支援がある状態で、今の先輩がどの程度まで戦えるのかを確かめた方が良いと思います。
力が急激に上がっているのならば、相手を闇雲に変えないで、数だけを増やして対応できるか試した方が良いと思います」
「それもそうね・・・。それじゃあここからは普通に階層を上げて徒歩移動で行きましょうか?」
「はい」
そうして僕たちは徒歩移動で20階層のボス部屋に向かった。
途中どんどん数が増えてくるゴブリンであったが、時折僕もホーリーアローを用いての援護をしていたため、特に危険なことは起きなかった。
そうしていよいよ、20階層のボス部屋の扉前に到着した。
「作戦は?どうする?」
「そうですね・・・ボスのゴブリンキングは僕が遠距離魔法とショックでひたすらひきつけておきますから、先輩はその隙に取り巻きのゴブリンを全て倒してください。
取り巻きを倒したら本命に行きましょう」
「わかったわ」
そして僕たちはゴブリンキングの待つ部屋に足を踏み入れる。
しかし・・・そこは僕たちの想像を超えていた。
そこは地獄だった。
なぜなら異常な数がそこにいた。
記憶が確かであればゴブリンのボス部屋は
ゴブリンキングが1匹と、ゴブリンの取り巻きが30匹ほどのエリアだ。
しかしそこにいたのは約3倍の数。
ゴブリンキングが3匹に、100匹近くはいようかというゴブリンの取り巻きたち。
「武君・・・これ・・・どういうこと・・・?
なんでこんなに・・・」
もはや絶望気味に先輩が言葉を放つ。
―――ダメだ!もはやなりふり構っていられる状況じゃない!―――
「先輩!大部分を一気に片づけます!そのあとはゴブリンキング戦です!」
「ええ!?そんなことできるわけが・・・!」
反論を聞いている暇はない!
「ホーリーフィールド!」
「アドバンスドブレス!」
「ホーリーブラッディ!」
僕は範囲魔法2つと自身の強化を1つ唱えた。
ホーリーフィールドは言うまでもなく敵の弱体化魔法だ。
そしてアドバンスドブレスは先ほどまで使っていたブレスとは段違いに、大幅にステータスを向上させる範囲バフ魔法だ。
最後にホーリーブラッディは本来回復が醍醐味の回復役が回復という役割を一時的に放棄する代わりに全ての魔力を攻撃に費やす魔法だ。
そして仕上げだ!
「ホーリーエクスプロージョン!!!」
次の瞬間真っ白で大きな光の弾が上から勢いよく落ちてきて・・・・
―――ドガァァァン!!!!―――
その一撃で全ての取り巻きゴブリンが殲滅されていた。
「す・・・凄い。これが元Bランクパーティの力・・・」
あとは・・・
「先輩!ゴブリンキングを倒してください!恐らくもう弱っているはずです!」
「・・わ、わかったわ!」
そういって飛び出す先輩。
アドバンスドブレスの効果か、今までにない速度で迫り、ゴブリンキングを一刀両断する。
流石にその攻撃で隣にいたゴブリンキングが応戦しようとするが、その間にすでに僕もホーリーアローが完成している。
それも10本。
10本を個別に操るのであれば難しかっただろうが、あくまでも1匹に向けて集中的に攻撃するだけのことだ。
それくらいならば問題なくできる。
そして聖なる矢は2匹目のゴブリンキングを倒していた。
最後に残った3匹目が破れかぶれに攻撃してくるが、今までの殲滅でさらにステータスが上がり、そのうえでアドバンスドブレスの効果を得ている先輩は、僕でも捕らえるのが困難なほどのスピードで簡単に回避し、最後の3匹目を瞬殺していた。
そうしてモンスターハウスとなっていた20階層でのボス戦は終了したのであった。
聖魔導士、現代ダンジョンで無双する きよすいようはねた @jckmlivly
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。聖魔導士、現代ダンジョンで無双するの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます