第17話 幼馴染と映画デート
雫との待ち合わせの場所である駅前で俺は昨日選んでおいたオシャレな服にを身を包み雫を待っていた。
「にしてもまさか映画デートとは……」
まさか雫と二人で出かけることになるとは思いもしなかった。思えば再開してから二人きりになったことはなかったか……前に遠ざけるようなことを言った手前ちょっと気まずい。
そうこうしていると駅から雫が出てくるのが見えた。
「あ、たっくん! ごめん待った?」
「いや、今着いたとこ__」
俺はデートといえばお決まりの言葉を言いかけて止まった。
整えられた髪に、恐らく今日のために慎重に選び抜いた可愛い服を身に纏った幼馴染に見惚れた。
「どう?……可愛い?」
「ああ、すごく可愛いよ。」
「そ、そう……ありがと……。」
少し照れるように視線を逸らすと次は恥ずかしがりながらも俺の前に手を差し出した。
「手、繋がない?」
「雫?」
「……」
俺が問いかけても雫はただただ無言で手を差し出す。
これは……手を繋がないと進まなさそうだな。
俺は観念して雫の手をそっととった。
自分の手とは比べ物にならないほど小さく、スベスベな手はまるでシルクの布地の様に白く美しかった。
「今日のエスコートはお任せください、お嬢様?」
「ふふ、たっくん全然似合ってなーい!」
「うっせ、これでも昨日練習したんだぞ」
「でもありがと、たっくんも楽しみにしててくれたんだね。」
「……まぁな」
実際俺は今日のデートをなんだかんだで楽しみにしていた。
自分でもよくわからないが恐らく久しぶりの幼馴染との時間を楽しみたいというところから来ているのだろう。これは決して恋心的なものではない。
「さ、行こう。早くしないと映画の上映に間に合わないぞ」
「うん、今日はよろしくたっくん!」
「こちらこそ最高の1日にして差し上げますよ、お姫様。」
俺が揶揄うように言うと雫は頬をぷくっと膨らませ不満げに俺の袖を引っ張った。
「冗談だよ、いい一日にしような雫。」
「うん!」
今日だけは雫の幼馴染として雫の隣を歩いてもいいよな。
俺たちは雑談しながら駅に向かった。
底辺高校に入学したら、結婚の約束をした清楚系美少女の幼馴染がいた件 ぷらぷら @1473690623
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