第03話 塗装会社社長の話01
予告通り開始します
塗装会社社長Tさん、私はこの方に影響された気もします。
昔から怪異譚に遭遇はすれど、そんなもので過ごしていた訳ですが、Tさんに会って話を聞いてもらい、解説までされたんですよね。
当時、高校生だったので、某設計士の先生とは接点も少なかったので、情報を得られる唯一の相手でした。
そんなTさんが、あちらの世界へ足を踏み込んだ当時のお話になります。
Tさん20代の頃、塗料の混ぜ合わせミスで、有毒系のガスが出て吸い込んでしまい、緊急搬送になる。
その時見たのは、足元が雲かガスに覆われていた。
遥か先に大きな四角い光、多分門だと思われる。
視界の隅に大きな黒い丸、禍々しさは無く、寧ろ来い来いと誘惑すらしてくる。
白と黒を視認したら、頭の上の方から声が聞こえた。
『好きな方へ進め、お前はどちらでも無いから』と意味深な振りをされた。
少し考えていたら、更に声が聞こえた。
『次が詰まっている、早く選べ』と
Tさんは、これは試されていると解釈。
なので、白と黒の真ん中を進んだ。
空からまた声が聞こえた。
『捻くれるのも一級品か、ならばこれからは真っ当に生きよ』と、聞こえたと思ったら、目覚めたんだよ。
病院の集中治療室だった、倒れてから1日経過していた。
暫く安静入院となった。
夢で捻くれも大概にせいと言われていたが、退院してからも変わらなかった。
ある時、仕事中、足場から落下して骨折、そのまま病院へ。
手術中に麻酔で夢の中へ。
再び声がする
『捻くれを直せと言ったろ、真っ当に生きるならお前は助かる、次は無いぞ』と告げた所で、目覚めたら病室。
複雑骨折を3箇所やったので、半年程入院。
退院後、彼は心入れ替え、真っ当に生きたんだとさ。
その心変わりを、先代社長が認め、娘さんを嫁に貰い後を継いだのだとか。
「あの時(2回目)に心を入れ替え無ければ今はないよ」と
先代も、退院後に心を入れ替えたので、何があったかを聞きたがったから、これも俺の試練(勝手に認定)と思って、最初の選択から聞かせた。
聞き終えた先代は、「神様は見ているし、お前さんは護られているんだね」と笑顔だったそうな。
後日談的な話がありまして、Tさんが某設計士の先生と仕事したとき、先生が聞きたがったそうで、一通りの話をしたら。
ニヤリと笑みを浮かべながら
「その声ってのは御先祖さんだ、お前さんが危ないから助言してたんだろ、若さはバカさだからな」
ゲラゲラと笑っていたとか。
以上
塗装会社社長の話 その01
了
親方たちが垣間見た世界 工務店さん @s_meito
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