妄想製造マシーン行列

妄想製造マシーン行列

年中無休、朝から晩までおとな工場は大忙し

取扱商品は、子どもたち

教育熱心工場では、毎日おとなが子どもをパッケージング

ラベルにはひとこと、「これは優良物件！」

みんな声を揃えて「ぼくたちは将来有望！」

ぼくも高らかに「安心安全、品質保証つき！」

ぼくは期待の新商品

ぼくは出来る子優秀な子

将来の夢は官房長官事務次官！

なぜかって？

知らない。

だって、おかあさんおとうさんの夢だもの！

月火水木金土日、ピアノにバレエ、学習塾。

午前も午後も、ぼくの予定はびっしり多事多端

魑魅魍魎って書けるかい？

一京って桁数が幾つか知っているかい？

たくさん知識を詰め込むと、工場長も家族もぼくを好評嘖嘖

おとなの期待に沿っていれば、ぼくはいつまでも順風満帆

算数の計算は必ずつるかめ算、XとかYとかは使いません！

宿題は言われた通りの解き方でしか致しません！

すべては理想のおとなになるために！

工場長は一言、「他所の子どもは塵くずです。」

おかあさんも一言、「すべてはおまえのためなのよ。」

おとうさんも一言、「言われたとおりにやっておけば完璧さ。」

ぼくは全てのおとなを崇拝して、言われるがままに従った

ネクタイを締めて外へ出ても尚、ぼくは言われた通り深夜残業

くたくたになって死にたくなるまで休日出勤

「本当にこれでよかったのかな」

「きっとあのおとなは正しくなかったんだ」

「なんでもかんでも与えるのは不良品を作る材料なんだ！」

そう思い始めたおとなのぼくは、自分のこどもに不干渉を徹底した

何をしても怒られない

何をしなくても叱られない

それはあたし、自由放任工場の新商品