そこに一脚の椅子がある。


 その椅子は広い空間内にポツンと置かれており、それ以外はなにもない。



 そう、私の目にはただ、輝く玉座のみが見えている。


 誰でもない、この私が座るべき椅子。


 ただそこに座することだけを考え、ただ椅子のみを見つめるのだ。


 私のためにある、ひとつだけの椅子。




 もう気づいている。


 【漆黒の天使】としてここに招かれた私。


 あの椅子に座り、この伏魔殿を私の色で染めるのだ。



 私は剣を抜き、灰色の天使に闘いを挑んだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いす むに @truth62

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ