最終話 探し人との再会

 小生の故郷は、山奥の一角にある。

 そこにはおおよそ500頭のウマと、50頭の一角獣が暮らしており……その中には両親もいた。


「おお、シロンス!」

「父さんに母さん……いま戻ったよ!」

「ちょうどいいところにでもどってきましたね。貴方が探している天使……いま、姉のメイプルと一緒にいますよ」

「ありがとう!」


 小生はすぐに、姉の匂いを辿ってみると、そこには姉と共に見覚えのある天使の姿があった。

 彼女は立派な翼を広げ、月夜を背にこちらへと視線を向けた。


「貴方は……!」

「久しぶりだね……ジャーダ」

 そう告げると、彼女もまた嬉しそうに微笑んでくれた。

「これほど見事な一角獣になるなんて……さすがです!」



 天使ジャーダこそ、小生がユニコーンになるきっかけを与えてくれた人だ。

 小生がゆっくりと歩み寄ると、彼女は「約束ですからね……」と言いながら、小生の頭をそっと撫でてくれた。


「確かに貴方は、長い旅の中で……再び私を見つけることができました。約束通り風の加護を得たウイングユニコーンへの力を授けます」


 その言葉に小生は、おやっと思った。

「風の加護を授けることができた……ということは、また空を飛べるようになったの?」

「ええ。貴方が私を探していたように、私も旅の中で風のマナを拾い集めてきたのです」

「なんだ……なら、これは……必要なかったか……」


 呟きながら、小生は旅先で集めてきた風のマナを角から出すと、ジャーダは驚いた様子で言った。

「まさか、これほどのマナを集めていたなんて……」

「他にも旅先で、薬草とか様々な人と会ったりもしたよ」


 そこまで言うと、小生はにっこりと笑った。

「では天使様。次はどんな試練を与えてくれるんだい?」


 質問をすると、天使は困り顔になった。

「シロンスももう……人間になおせば30近いですからね。それでは……こうしましょう」


 小生が頷くと、天使は微笑みながら言った。

「次の試練は、自分の後継者を作ることです。最低でも愛する牝馬をめとって……自分と同格のユニコーンを作ること。それができて4つめの試練達成ということにしましょう」



 その話を聞いて、そういうことかと思いながら小生はエレオノールペルルを見た。

 彼女が案内役を買って出たのも、こういう話の流れになることを理解してということだったのだろう。


 かえって墓穴を掘ったかと思っていたとき……冒険者アレックスと旅の演奏家の少女が姿を見せた。

「お久しぶりですね」

「あ、もしかして……君たちも一枚かんでる?」

 そう聞き返すと、アレックスは即座に視線をずらして気まずそうに笑っていた。


「いや、よく考えたんだけど、僕も君の仔馬と一緒に冒険したいからさ。僕が彼女と合流したせいで君の旅を追われせてしまったようで悪いけど……まあ、悪く思わないでくれ」

「……仔馬には、君の悪口を一杯吹き込んでおいてあげよう」

「ああ、こら……それはやめてくれ!」


 間もなく、周囲に笑い声が響いた。



【作者の挨拶】

 ここまで、旅行くおウマにヒッチハイクをご覧くださり、まことにありがとうございます!


 実はこの作品は、カクヨムさんだけでなくアルファポリスさんにも掲載している作品になります。できればAIで作成したイラスト集も一緒に掲載したかったのですが、あいにくカクヨムさんではそのような機能が見当たらなかったため、アルファポリスさんだけでの掲載とさせていただきました。



 次こそは、10万文字を超える作品を作りたいと考えています。また、スィグ・トーネという名を見掛けたら、ぜひとも作品を手にとって頂ければ幸いです。


 短くはありますが、これで挨拶とさせて頂きます。

 重ねて、最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

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旅行くおウマにヒッチハイク スィグ・トーネ @syg20230508

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