愛猫日記 第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト二十句連作部門参加作品

平 健一郎 (たいらけんいちろう)

愛猫日記

春燈や猫の歩みのわたしたち


猫の背の手ざわりのごと春の雲


夏蝶となりて黒猫まだ来ぬか


猫のゐる葉桜めぐり夕餉まで


猫欲しや手のひらに撫づ古日記


猫の子の満たされ眠り飼われけり


猫ひそむ市場通りや霧深し


御手水に近づく猫や蝉時雨


夏痩せの猫いつまでも眠そうな


猫ばかり寝そべる梅雨の無人駅


春障子猫詠む遊女ありにけり


孕み猫おそろし愛す子のあらば


仰向けに飼い猫眠るチューリップ


寝たふりの猫耳むけて薄暑かな


日向ぼこ老猫添いて息忘れ


熱帯夜爪とぎしたる猫の目よ


雛人形見上げ飼い猫あとずさり


春めくや点滴さらり猫に入り


墓碑銘に猫の名もあり春北風


猫酔ひて自由のめまい春驟雨






















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