第6話
○
「ライー、もうだいぶ歩いてるんだけどー」
赤音がこれを言うのはもう3回目だ。
私達はライに連れられて魔法の使い方のなんとやらを教えてくれる先生のところへ向かっていた。
「もっとすぐバシュンっ!と行けないのー?それこそ魔法使えばいいじゃん」
「そりゃ無理だ。さっきも言ったように、魔法の種類は完全に才能だ。ましてや空間魔法なんざ、この世界では一握りだよ」
空間魔法という響きだと一気に難しい魔法っぽい。
「難しそう…」
赤音がまだ歩くことを悟って落ち込んでいる。
「実際難しいぞ。自在に使えるには結構な魔力と才能がいるからな。」
ライが追い打ちをかける。
「それこそ使えるのは神とかだけなんじゃない?」
「ちげえねえ」
メリナとライの笑い声は、すこし森にこだました。
⦿
「さて、着いたぞ」
「よっしゃあー!」
先程までの疲れはどこへやら、赤音は元気満タンの様子だ。そんな私達の前に立っているのは、いたって普通の山…いや森小屋である。
「もしかして仙人みたいな人が住んでるのかな!」
赤音が魔法の先生を思い浮かべる。私は魔女のお姉さんっぽい人だと思っていたが、確かにこの小さい小屋に女性は住めないかもしれない。
「よし、とりあえず先生!って言っとけば調子に乗って魔法とか教えてくれると思うから、頼むぞお前ら!」
…この世界の仙人は調子に乗るらしい。もしかしてエロジジイではないだろうか。
少し心配はあるが、ここまで来たら戻れまいと、私と赤音は思い切って木でできた硬い扉を叩いた。
コンコン。
ノックの音だけが響く。仙人(?)らしき人の声はしなかった。
「…?」
「リコっ!」
ライが無作法に扉を開け放った。
小屋には、2人の少女がいた。
黄緑色で、毛先が森のように深い緑色の髪を二つに束ねている。相当な毛量がありそうだ。薄ピンクのドレスは、彼女を貴族に見させるアクセサリの一つになっていた。全体で見ると本当に英国の貴族のようだ。
しかしここで私は失敗をした。
一人の少女だけをまじまじと見ている暇はなかったのである。
もう一人の少女は、容姿を見る間もなく既に私達に斬りかかってきていた。
5色(ゴシキ) ようく @ycha_3400
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