第2生 【下女の生】
「痛っっっ.....!」
痛みが頬にじわっと広がっていく。
3度目の人生は謎の痛みから始まった。
「おはようございます。旦那様。」
私の第3の人生はあるお屋敷の女中であった。
最近雇われて昨日はミスをしてしまい殴られ頬が腫れ上がっているようだ。
「なんでまたそんなに頬が腫れているんだ?使えるものの前でぐらい身だしなみを整えたらどうだ?」
「はい。申し訳ございません。」
笑顔で応じたが正直心の中は、真逆であった。
はらわたが煮え繰り返るようであった。
元のこの身体の持ち主はよくこんな環境に耐えられたものだなぁと少し感動しながらも、怒りに震えていた。
「お食事のご用意ができております。食べておいてくださいませ。私どもは頬の腫れをその間に治してきますので。」
先輩がなんとか庇ってくれた。
「ありがとうございます。」
そう言い会釈しながら自室へと戻った。
とは言われたものの、いったいどうやって治すんだろう。
そんな知識、今までに必要なかったのに、んなどうしてこ人生に転生してしまったのだろう。
そう本当であれば、自分の思った人に転生することができるはずだった。
だけど、[迷い人]が全てを無駄にした。
[迷い人]の効果が[100物語]にも影響してしまい結果、自分の意に介さない形となってしまった。だからこそこれからのことも考えていかないといけない。思ったよりもお兄ちゃんを助けるための転生も時間もかなりかかりそうだ。
本当なら、何度も同じ世界をやり直して試行数を増やして1番可能性のある道を選んでいこうとしていた。だが今回違う世界になってしまうことがわかった。あの世界に辿り着けるかすら危うい。だけど辿り着けないかもしれなくても、今できることをしていかないと前にも進めない。そのためにとりあえずこの現状をなんとかしないと。
あのクソ野郎は「また」と言っていたということはこの身体の元の持ち主が知っているはず。
頑張ってできるだけ深く深く記憶を辿って思い出してみる。が特にこれといってやり方がわからない。
「えっどうしょう。結局のところわからないよ。」
このまま出て行ってもどうせ怒られるだろうし、出ていかなくても怒られらだろうしどうしたらいいの?できるだけ主人に見られない場所で働けばバレないし殴られることもなかなるかも。とりあえず、役割が洗濯の人に変わってくれないか聞いてみようか。
「ディグリスさん。突然で申し訳ないのですが今日だけでいいので役割変わっていただけないでしょうか?」するとディグリスさんは何かを察したのか「なるほど...。じゃあここは頼むはね。今度は怒られないようにねー。」と深く踏み込んでくるわけでもなく軽く了承してくれた。
「ありがとうございます!」と家の中へと向かうディグリスさんに深々と頭を下げた。
それから同じようなことが何度もあり3年の月日がたった。正直なところここまできたらあの主人さんに殴られたり怒られたりしたところで特に何か思うことも無くなってしまった。良く言えばメンタルだけは強くなった。まぁ学習しなさすぎて掃除に洗濯どっちを見ても1つはミスをしている。炊事なら役に立てるんだけどなぁ。前世のおかげで町民に愛されるレストランでの腕はまだ健在のはずだし!と思い働いてる人を束ねる先輩さんに頼みにいった。
「掃除や洗濯すらままならないあなたが食事をお出しできるはずがないでしょ?」と完全に一掃されてしまった。
「し..失礼しました...。」
と言ったふうに結局逃げるかのように部屋から出てしまった。もう少し優しくしてくれてもいいのになぁと思い私と同じくらいに仕事ができない同年代の子に愚痴りに言ったが何故か部屋にいない。もう夜遅いのに帰ってきていないはずがない。急にいなくなったことを不安に思いつつ私は自室へと戻り布団の中に入った。
その夜は全然寝付けなかった。
次の日、朝一番に起きて探してみたがあの子はいなかった。とりあえず仕事をしていた。すると他の女中の子達が何やら話している。
「あの子誰だっけ辞めさせられたんでしょ?」
「なんでも近々もう少し人員をさこうとしてるそうよ。」
「そうなの?怖いわねぇ。私そんなに仕事できないし」
「私もよー。でも1番危ないのはあの子でしょ辞めさせられた子と同い年だったあの子」
と言いながら私の方を見てきた。私も聞いていたので目が合ってしまった。共に気まずそうにばらけていく。
その日は同僚に対しての不安より自身の将来への不安で寝られなかった。
「前世みたいに死んだらどうしよう。今やめさせられたら今後どうやって暮らしていけばいいの?」
とぶつぶつ呟いていた。
そして朝になっていた。
ノックする音が聞こえる。誰だろう?
「はい。今開けますね。」
目の前に立っていたのはこの家の主人だった。
「君には暇を出す今日の夕方には荷物をまとめて出ていくように。」
終わったと思った。
それからのことは良く覚えていない。
何をしたかも分からないし。どうやってここまできたかもあまり覚えてはいない。
暗闇の中放り出された私はとにかく野宿の結論に至った。そして橋の下で寝ることにした。
そして朝になり目を覚ますと体が縮んでいた!わけもなく荷物とりわけ食料と金銭といってもわずかなものだったがなくなっていた。ほんとにこれからどうしようか。とりあえず町の人にこの身の元の持ち主が住んでいたところのある程度の場所を教えてもらった。汚い見目だったためとても怪訝そうな回されてしまった。とりあえず行ってみたのだがそこはもぬけの殻で人っ子一人いない荒れたものとなっていた。
とりあえずここで腰を下ろそうとした時急に雨が降ってきた。これにより森から街には帰ることができなくなった。本当に詰んだ。なんでこうも不幸なことばかり起こるのだろうか。
何日経っただろうか大雨がようやく止んだ家も少しばかり浸水してしまってる。
「外に出てみようかな」
少し前向きな気持ちで立ち上がりドアを開け外へと足を踏み出し意識は途絶えた。
こうして悲しき下女の人生は幕を閉じた。
私の100転生譚 真藍 @Saai_Az
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の100転生譚の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます