『頑なに拒む両手』

七海凪

第1話

一瞬、自分の置かれている状況が分からなかった。


ふいにバランスを崩した足が絡まり、

そのまま地面に倒れる予定だった私の身体は、

彼に受け止められた。


黒いポロシャツの胸に顔を埋めたまま、

自分の両手が彼の身体に触れてしまわないよう祈る。


触れてしまったら

私の気持ちが伝わってしまいそうで。

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『頑なに拒む両手』 七海凪 @nagi773

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