出会い?そんなんじゃない

「コアの大部分が破損しました、一週間後には・・・・」

リポーターの表情は暗くなり重い声で

「全人類は死にます・・・ですが!政府はまだ何とか出来ると言っています。どうか皆さんはいつもの日常をお過ごしくださいと」

プチっ

リモコンのスイッチを押して、テレビの電源を切る。

(死ぬのか・・・・。僕達には縁の無い単語でよく分からないや)


自室へ戻り、ベッドに飛び込んだ。

「死かぁ・・・・どんなのだろう?怖いのか・・・・」

最後まで言い終わる前に

僕の意識は夢の中へと入った。


次の日―

バイト先に向かえば、高級車が5台も止まってて

何事か!?

と急いで店の中に入ると

「あ・・・あの人は・・・」

昨日望遠鏡で見えた王様。一体誰と戦ってたんだろう?とは言えない。

店の中に入って2歩位進むと、王様は振り向いて

「お前は・・・・。こんな所で働いていたのか?」

驚きを隠すことも無い、逆にどうして他人なのに、どん引いているんだ?

「???」

「ああ、何でも無い。気にしないでくれ」

「あの月は大丈夫なんですよね!?私達死んだりしないですよね!?」

バイト先の先輩は生きたい!を伝える為に王に詰め寄った。


「ああ大丈夫だ。皆必ず生きられる。月が壊れても月の導きは終わらない」


安堵した先輩は、良かったと呟いた。


「此処にいると思ったが・・・検討違いか」

「・・・・・?」

僕とすれ違いざまに呟いた言葉。

誰かを探していたのか?

こんな王族に似合わないみすぼらしい、場所に来るなんて確かに珍しいよな。

「・・・・・」

結局、疑問は解決しないまま


王族達は高級車に乗って去って行った。



「ねえ!優夜君、暗童さんしらない?昨日から連絡取れないんだけど」


「いえ知りませんが」


「そっかー」


彼女に何かあったのだろうか?


心配だ。

――――――――

結局一日彼女が現れることは無かった。


無断欠勤だって騒いでいたけど、僕は何か事件に巻き込まれてしまったんじゃないかと推測する。


「次のニュースです。つい先ほど、月を侵食した犯罪者の顔が分かりました」

テレビに映し出される女性の写真。

何処か既視感を覚える。

「何故か分からないけど、誰かに似てる・・・・?」

「どうしたの?珍しく考え事?」

無意識に声が出てたみたいで、バイト先の先輩に心配されてしまった。

「いえなんでもないです。すみません」

謝り、テキパキ支度して、さっさっと店を出た。


今日の月は、暗くみえる。

後輩と見たときは綺麗だったのに。

ずーと変わらなかった景色も、変わるもんなんだなぁ。


「僕は・・・・どうしたらいい?大人しく死を待てばいいのだろうか?」

あの戦いはなんなんだろう?

ヤバい感じのやつなのか?

つもりに積もる疑問。

もうすぐ家に着くという所で、

僕の近くに高級車が止まり、中から黒いスーツを来た女性が出てくる。

南風 優夜みなみかぜ ゆうや様ですね?王が貴方を、終末の宮殿に来る事を望んでおられます。どうぞ、車の中へ」


そんな勧められても、困るのに。

ああ僕は不運だ。

あの戦いを見るに、今は王に逆らうべきでは無いと察知し、大人しくそれに応じた。

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月の開拓者ーノイズー bbキャンセル君 @aiumi

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