違和感と緊急速報

家に着いたら、真っ先にリビングで寝転がる。

ああ、やっぱり家は落ち着くな

このまま目を閉じて寝てしまおうかと思った時に

隣人や向かいの家の人がざわつきだし


それに連鎖するように次ぎ次ぎと電気も点灯しだす。


「・・・・・?」

さすがにこの状況は異常だと思い

僕はサンダルを履いて、外に出ると

すぐに分かる異常だと。


あるはずの月明かりが無く、空を見上げると

「な!・・・・なんだあれ」

普通ならあり得ないであろう、月が黒い何かに浸食されているのが目に映る。


僕はすぐに家へ入り、いつも月を観測する為に使っている

望遠鏡の元へと急いで向かった。


――――――――

自室に入り、すぐに望遠鏡を覗くと

目を疑う光景が待ち構えていた。

「・・・・まさかっ!!あれを覆っているもの全てコウモリなのか!?」


月を覆っているモノの正体はコウモリ・・・・だと分かっても正直

こんなのありえないし、前代未聞だ!!


コウモリがこんなに大規模な連携を取れるとは思えない。


しばらく望遠鏡で観察していると、

隠れた月の前に誰かが現れる。

暗くてよく見えないけど。

そしてもう一人、光を放つ人物が現れた。


しっかり見える、あれは・・・・ウィンス・ナイト。

この国の王。


二人はぶつかった、お互い殺す気で・・・・・


望遠鏡の先は戦場なのか・・・・・


「そうだ・・・テレビ」

一階のリビングに戻ってきて電源を点けると


月に関してのニュースが流れている。



「・・・・僕達は死なない。死なない僕達は

そう当たり前の違和感を口にだす。

死なないはずなのに、人は入れ替わっているし

産婦人科だってある。


この世界に何かあるのかな?

なんて・・・・

「もう分からないよ。この世界の事がさぁ、母さん」


子共の頃撮った母さんと僕の写真が飾っている写真立てを見る。

母は昔

[大丈夫・・・貴方は立派な王になれるわ。貴方は月と太陽どちらになるつもりなの?]

と残して突然消えた。王とは?月と太陽?

母はいつも意味不明な事を言っていたし、あまり気にしていないけど。

あと僕は父のことは知らないし会った事もない。

母さんに聞いても、一切答えてくれなかったから

きっと色々あったと予測は立ててたんだけど、

母さんは父の事が今でも好きみたいな仕草をするから

よく分からなかった。


そろそろ眠気が訪れ眠ろうとした時だった。

ヴゥーーー!!!

「!!」

甲高いサイレンが街中に鳴り響く。

テレビも他の番組から、変わって緊急速報に切り替わる。

リポーターが慌てながら

「現在月の損傷を確認したという情報が政府から公表されました」

緊張が画面越しでも伝わるぐらい、ヤバいことにも関わらず僕は

心の底からの不安は無く、あるべき人の末路へ行ける、そんな気がしていた。



ああ、今は緊急速報の続きを求めている。




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