混沌に咲く

鈴木風一

混沌に咲く

ふと想う

   流れ星の飴入る人

         入らない人入れるあの人


またこれを

   忘れることができたなら

       そして誰かを照らし出せたら


星空の

  海から落ちた息遣い

        そよ風感じあなたと見た空


夜の蜜

  ひとくち掬って飲んでみる

         星が水差し我すら忘れて


思い出す

  あるじを忘れた人形の

         心の奥で何かが跳んだ


水に鳴く

   花を探して夜の夜

        あなたと歩く闇夜の跳ね道


雨空よ

  心は見せないその雨は

          遠い昔の誰かの言い訳


夜更け過ぎ

   逃げる時の聞いてたら

          もう消炭の頼りない顔


透明な

  夢見るものを探し当て

         天国の霧いつか切れたら


風が吹き

   葉音の夕立あのときの

       わたしは何を思ったのだろう


言霊の

  憂いの中に伸びる影

         透き通らない色々なこと


空にひび

   見えた時にはこの胸に

        消え去る音を抱いて歩いた


この夜を

  瞬くまだ見ぬ色で塗り

         極彩色の吐息の調べ


夢を見る

   君の瞳は紅水晶べにすいしょう

         憂鬱だって光になった


あの人の

  秘めたる想いは赤き凧

         糸千切れても日々を彩り


花は棘

  絡まる心裏言葉

      すり抜けたくて澄みわたってく


影の樽

  膨らむ手前の川縁かわべり

      あなたとわたし見つめ合うだけ


晴れた日は

  ふわりふわりとした朝で

        雲の絨毯ふらいついていた


目に映る

  百色ひゃくいろ模様のこの日々が

       奏でる音は無形のメロディー


この指を

   あなたの心に伸ばしたら

        全てが渦巻く紅のほとりへ

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混沌に咲く 鈴木風一 @huuichi

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