第23話 寝る間に


 家に着いた頃には酷くやつれていたと思う。

二人が驚いた顔をしていたからだ。柚月からは「いつの間に幽霊になったんだ」と、言われる始末

それだけ濃い一日だったのだ。そう、濃い一日だった。


 僕はベッドに横たわると、あっという間に寝ていた。





 友介が床に就き寝息を立てる頃――――柚月と菊璃



「わたし達の姿が視える者が現れた。これをどう思う?菊璃よ」

「はい、私達が気配をどれだけ薄くしようと気付く者は…やはりかと」


 柚月の問いに、そう菊璃が答える。

柚月も現代の情勢、特にオカルト、信仰について、念入りに調べていた。

神や悪魔、それに準ずるモノが今、この現代にどう扱われるかを。


 答えは決まってだ。


友介達が住まう地球において、宗教は数多くあり、ある国では一柱の神を崇め、ある国では一柱の悪魔を崇め、ある国では……

数えているときりがない位には人類の宗教は広く、そして多い。

 そんな中、神が、悪魔が、天使が、顕現した、となると世界には大きな混乱が生じるのは間違いないのだ。


 そんなこと面倒はしたくない、と柚月と菊璃は思う。

だが、視えない人間からしたら、変な妄言を吐く人間がいるだけだ、と思うのだろうが、万が一、いや、億に一、自分の透明化が、神力が使えなくなったら、間違いなく最悪の結果が待っている、と考ええた。



――――――――――—―



 菊璃は考える。


 柚月と共に一生、いや方が良いのでは、と。

人間、友介や私達が視えている樹奈の、私たちの記憶を消し、また一から過ごした方が良いのか、と。

を考えると不可能ではない。だができない。

いや、しない。


 今の生活、友介という存在

不思議と心地が良いのだ。それを捨てるのは悩みだ。恐らくの中で一番の悩みどころだろう。

樹奈という者の記憶を消せば解決できることだろう…

 だがをした時、友介は今のようにいてくれるのだろうか…



 菊璃は考える。

いつか答えが来るのだろうか、と。


 菊璃は考える。

どこかで問題を解決しなければ、と。


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心霊スポット巡りしてたら神霊スポットでした あたりめ @atarimeee

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