第22話 課題終わってない友人
学校が明日再開する。
どうにも課題を進めていない人間がいるらしく、課題の手伝いをしている人間もいる。
そう、課題をしていない人間というのが、紀一だ。
出されている課題は簡単な物だ。だが量がやや多い。
それをほとんど手つかずの状態にしているのだ。課題をしないと単位が貰えない。そうなると卒業に響くことになる。ちなみに僕はこつこつ終わらせていたので一週間前から暇を持て余していた。
そして手伝っている人間というのが、僕だ。
課題とは言ってしまえば宿題みたいなものなのだが、時間が時間なので教えながら終わらせられるものでもない。
なので現在、大絶賛課題進行中である。
「なぁんで課題やってないのかねぇ?」
「面目ねぇ…面目ねぇ…!」
「ギンジじゃないだろお前は!」
もちろん二人して変なテンションなのだから、気持ち悪いくらい笑っている。
課題が終わったのはその日の夜中の三時だった。
課題を進めている場所は紀一の家だ。
紀一の両親に宿泊の許可を貰っている。…いや、むしろ紀一の両親から泊まれと言われてたのだが…
今日は柚月と菊璃は憑いてきていない。と、いうのも紀一の妹の樹奈が居るからだ。
どうやら樹奈は霊感がかなり強く、柚月と菊璃の姿をぼんやりとだが視える、とのことで、普通の幽霊ならくっきり視えるみたいなことを言っていた。
なので僕の家で待機してもらっている。
「友介さん、今日なんか雰囲気違いません?」
「えぇ?僕はいつも通りなんだけどな…なぁ?」
「おう。いつもの友介だな、樹奈も変なこと言うなよ?」
「んもー、変じゃないもん!」
女の人ってどうしてこうも勘が鋭いのか…樹奈だけなのかも…?
兎に角、今日を無事に過ごせたらなんでもいいや。
何をするにしてもずっと樹奈が覗いて見ているのでなんとも集中できない…
お風呂を借りているときも、紀一と課題を進めているときもこっそり覗いて来るのだ…
実害はないので放っておいたが、紀一には怒られていた。
※※※※※※※
課題がだいぶ進み、休憩時間を設け、僕はコンビニで飲み物や食べ物、スイーツ等を買いに行く時のことだ
紀一の家から出ると、後ろから樹奈が着いてきた。
「ねぇねぇ、友介さん、あの二人はどうしたんですか?」
「…なんのこと?」
「友介さん、分かりやすいですね。あなたに憑いてたあの二人の幽霊?ですよ。なんだか幽霊なんだか分からない存在でしたけど…」
「…」
話しても良いものなのか…やはり柚月と菊璃の想像通りグイグイ来る子だ…
走って撒くか?いや、それだともっと怪しまれる。
「ほんとになにも見えなかったよ?僕に幽霊が憑いてるの?」
「はい!今は憑いて無いようですけど…やっぱり何があるか分からないですから連絡先交換しましょうよ!」
騙す、それに限る。
下手に話過ぎるとボロが出るだろうから、簡単かつ簡潔に終わらせるに限る。
それにしても樹奈はグイグイ来る子なんだなぁ、と思った。
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