第15話 剣の国
ノエルから説明を受けながら国を歩いていた。
「ここは剣の国と呼ばれています」
「へぇ。剣の国、かぁ」
「はい。この国で一番強いと言われている【剣聖】のアスラ様は有名ですからね。そして彼の率いるアスラ騎士団は世界でも右に出る者はいないと言われていますよ」
剣聖アスラ、か。
強そうな人だな。
それに剣で攻撃してくるとなると俺とは相性不利。
絶望的に相性が悪い人物だろう。
戦わないようにしたいな。
そもそも戦うような状況にしないように動きたいが。
(って自意識過剰か。エリスと違って繋がりがある訳じゃない。知らない仲だ。そんなことになるわけないか)
って思いなおして俺はノエルに目を向けた。
「剣の国なら剣の一本や二本あるよね?」
「それはもちろんありますけど」
「買わない?」
俺はノエルにあの洞窟でもらった剣を見た。
はっきり言ってボロボロだ。
「これじゃちょっと心許ないからさ。ごめんね。貰ったものだけどさ」
貰ったものにケチつけるな、って思われそうだけど命に関わることだ。
そこははっきりと伝えるべきだと思う。
「そうですね。買いましょうか」
とくに気は悪くしていないらしい。
そんなことに少し安心しつつ俺はこの国の武器屋に向かったが。
「高いな……」
「ですねぇ」
安いとは思っていなかったが一本金貨500とかっていうのもあった。
ちなみに金貨500は日本円で500万くらいらしい。
もっといいものなら4桁乗るらしい。
「とりあえずお金ためてみるか」
今の俺はそういえば一銭もないからな。
あのエリスも旅立ちのときになんにもくれなかったし。
ノエルがいなかったら食い倒れてたかも。
「この国ではみんなはどういうふうにお金を稼ぐの?」
「私達みたいな冒険者って呼ばれるような人間だとモンスターを倒したり、ですね」
ふぅん。
なるほど。普通のテンプレみたいなファンタジーな世界観なんだないちおうは。
そう思って俺はノエルに聞いてみることにした。
「とりあえず、それやってみたいな。モンスター倒してみたり」
「お、やってみますかー?」
にんまり笑ってくるノエル。
「私が手取り足取り教えますよ。これでも冒険者やってましたからねフンス」
この人は俺に説明できるとなるとちょっと嬉しそうな顔するんだよな。
そういえば日本でも。おばあちゃんとか、おじいちゃんとか話好きだったよなぁ。
俺もめっちゃ喋りかけられたし、この人もそういうものなのかもしれない。
ということで、俺はノエルに連れられて近場のダンジョンに向かってみることにした。
「ギィィ!!!」
飛び出してきたゴブリンを剣で切った。
ワンパンだった。
(ケガレ洞窟でのレベリングの成果なのだろうか?)
あれですごいレベルがあがったからなぁ俺。
そして
【ゴブリンの牙】
ドロップアイテムが出た。
(ケガレ洞窟じゃ出なかったけど、出るんだな。ドロップアイテム)
いわゆるゲームみたいな世界でけっこう馴染みやすいなこの世界。
そうしてドロップアイテムを拾いながらダンジョンを進んでいく。
そうしていた時だった。
「ねぇ、君」
声をかけられた。
そっちを向くと
(日本人か?)
黒髪に黒目の日本人っぽい顔立ちの奴がいた。
女だった。
「勇者じゃない?君って」
(どうしたらいいんだ?答えていいのだろうか?いや。誤魔化す方が不自然か)
考えをまとめて口を開く。
「そうだけど」
そう答えるとパァァァっと顔を輝かせた女の子。
「もしかして新人?!あ、私アヤノって言います!よろしく!」
「ナイトだよ」
そう答えると首をひねる彼女。
「日本人ネームじゃない?」
「あだ名だよ。ナイトって呼んでほしい」
「うん。ナイトくんだね!」
そう言って彼女はベラベラ話しかけてくる。
ほとんどどうでもいい話だったので聞き流す。
「グリンドル王国って勇者召喚の間隔長いって聞いたんだけどなー。あっ。グリンドルで召喚された勇者なら【グリンドルの勇者】って呼ぶんだよ」
そういうことも教えてくれた。
(ふぅん。なるほどね。国名を付けてその後に勇者と呼ぶのか)
予想していたこととは言えかなり複雑そうな世界だよな。
「あっ。そうそう。新人だから知らないと思うけど【エルドラの勇者】には近寄っちゃだめだよ。エリスっていう召喚者の頭のネジぶっ飛び召喚術式で呼ばれてるからあそこの勇者みんな頭のネジ飛んでるんだって!」
(俺がそのエルドラの勇者なんだが)
まぁ、分かったことはある。
エルドラの勇者というのは黙っておいた方がよさそうだなこれ。
(出身地はグリンドルと名乗った方がよさそうだな)
そういう豆知識がついた。
アヤメの話を聞いていろいろなことが分かった。
まず勇者ランクというのは上昇することがあるそうだ。
ゲームの限界突破というやつみたいに。
EランクからDランクにあがるといったふうに。
しかし彼女はグリンドルに去年きたが未だにEランク勇者であること。
そこで新顔の俺を見つけて舞い上がって話しかけに来たらしい。
要は先輩風というやつを吹かせにきたそうだ。
まぁ、気さくな人でダンジョンを抜ける頃にはそこそこ仲がよくなってた。
それで俺はアヤメと一緒に酒場にきた。
もちろんノエルも一緒だがアヤメのマシンガントークに入って来れないようだった。
「ねね。ナイトくんパーティ組まない?Eランク勇者なんだよね?!私もそうだからパーティ組もうよパーティ」
キャッキャしてそう言ってくるアヤメを適当にあしらうことにした。
誰もがハズレスキルと思い込んでいる【呪詛返し】で俺は頂点に立ちすべてを過去にする にこん @nicon
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