episode6 剣聖
ヘルメシアという女性。なにやら只者じゃない気配が…。あの2人は負けて何を得たのだろう?今回はヘルメシアとユリアの2人が主役かも。
「イーゼル!大丈夫か?あぁ、大丈夫そうだな!!」
そうイーゼルに声をかけた女性の名前はヘルメシアといった。
何処かで聞いたことのあるような…?それはイーゼルも思っていたみたい。その証拠に何かを思い出そうとしてる顔だったから。
眉間にシワがよっていて、難しそうな顔で、さっきみたいな恐怖で染まっていなかったから安心してしまって。
ふと、ポロポロと涙が溢れてしまった。
そしたら私以上にイーゼルが驚いて、泣き止むまでずっとオロオロしていて、魔法を発動する時、ポツリと言った『醜い、お母さんを殺した』そんな言葉に「醜くなんてない、貴方は悪くない」って言ってあげたかった…!
「なら言えばいい。嬢ちゃん、アンタが今イーゼルの心に一番近い所にいる。」
そう言われて、私とイーゼルは思い出した。
「アンタ・貴方、あの腹黒女・あの剣聖?!!」
けど、思い出したのは全く違うことだった。
「ユリア、お前あの腹黒女が英雄だって?何をそんな冗談を言ってんだ?」
「イーゼル、貴方こそ何を言ってるの?彼女はかの大英雄、剣聖ヘルメシア・ラグユール様なのよ?」
そんなこと言ったら不敬になっちゃうと続けようとしたら、今度はヘルメシア様がイーゼルのことを思い出したようにケラケラと笑い、お前は、変わったなと懐かしむように悲しむように言った。
「なぁ、イーゼル。お前さんはまだ父を恨んでいるか?」とその瞬間、イーゼルから息苦しいまでの殺気が出た。
カヒュッっという音を聞いて私の意識は暗転した。
「ううっ、私…?どうして寝て…」
「嬢ちゃん、起きたか〜?イーゼルの殺気にやられたんだが。すまん!!こうなるとはわかってたんがつい…」イーゼルももういない。そう言われてその時にはもうイーゼルは居なかった事に気付いた。それに気付いた後、ヘルメシア様はそう言って申し訳無さそうに頭を下げた。ビックリして声が裏返りそうになりながら
「た、確かに怖かったですけどヘルメシア様は何故あんなことを言ったのか。そちらの方が余程気になります。」
続けるようにこう言った。
「イーゼルの過去に何があったんですか。何故彼処まで父親を恨んでいるのですか?私はそれを知りたい。」
ヘルメシア様はぽかんとした顔で突然笑い出した。
「あっははははっ。はっ、嬢ちゃん。自分で何を言ってるか分かってるのかい?」
イーゼルの過去を知るってことは、あいつの苦しみ、絶望、憤激そういった負の感情すべてを受け止めなければならないんだぞ?ヘルメシア様はそう言った。
「覚悟は…あります!そうでなければ彼とチームなんて組んでない!!」
ふと、風が吹いた。まるで祝福するように、応援するように。私はこの風が親の子への思いやる心のように思えた。
場所は変わり森の奥。そこには様々な精霊や妖精がいた。その中にはイーゼルもいる。
「オマエガ女王ヲ傷ツケタ!!ユルサナイ…ユルサナイ!」
風の妖精はそう言った。
「アノ人ハ優シクシテクレタ!オマエノセイデ!!」
水の妖精はそう言った。
土の妖精も、火の精霊もそう言った。
わかっている。そんなこと、俺自身が1番よくわかっている。ふと、彼らが女王と言っていることに気が付いた。
「何、を言っている?女王?俺のせいで傷ついたのは母さんだけだ!」
ザシュッという音が聞こえた。その時、口元に激しい痛みが走った。妖精達に傷つけられたと気付くのにそう時間は掛からなかった。口元だけでなく体中の色々な所を傷つけられた。動けなくなった俺に満足したのか妖精達はどこかへ行った。
後に残ったのは苦痛で声を漏らす俺1人だけだった。
ユリアの覚悟とイーゼルの痛み。この後、2人はどうなるのだろう?イーゼルはこんなところで死んでしまうのか…イーゼルの過去とは?次回はイーゼルづくしかも。
それじゃあ少し休みましょう?
醜い妖精と風の精霊 八神レイジ @rkarimero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。醜い妖精と風の精霊の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます