266 バトル・ユニバース
古代魔法具が結界によって守られた大部屋。
至る所に魔結界が貼られた中心で、セシルが立っていた。
それに対するはロズ。
左腕を失っているものの、魔力の漏出を無理やりに抑えていた。
ロズは、日本刀を構えながら術式をまず破壊しようと考えていたが、動けなかった。
なぜなら、対面のセシルの魔力量が、圧倒的に少ない事に不安を感じたからだ。
つい先ほどまで対峙していたヴァイスとは比べものにならないほどの脆弱さ。
それこそ吹けば飛ぶような魔力量、ある種の疑問と不安を抱く。
――なぜ、味方が誰も来ないんだと。
「……随分と余裕だな」
だがやるべきことは変わらない。
女だろうと殺す覚悟を決めるが、いつになってもセシルは武器を構えない。
「ありがたいことに仲間から信頼してもらってるから」
「…………」
「あなた達の考えはわからないし、目的だって今はどうでもいい。これは、私の覚悟なの」
「何……の話だ?」
直後、ロズは迷いもなく駆けた。
攻撃を仕掛け、渾身の力を込める。
日本刀には、魔法障壁を容易に貫通する魔力が込められている。
だが――刃はとどなかった。
見たこともない色のエフェクトと同時に、魔法障壁がセシルを覆い、剣が弾かれる。
それどころか、身体ごと押し戻された。
感じたのは、微力な魔力。
今まで強敵を倒してきたロズにとっても、異質な事が起きていた。
そしてそれは、対面だけではなかった。
地面から微弱な魔力が、いくつもの線で重なり合っていることに気づく。
「結界……?」
「バトル・ユニバースは先手と後攻に分かれて、20×20の駒を操って戦う。――私はね、それに絶対的な自信を持ってる。残念だけど、あなたのターンはそれで終わり」
ロズは、そんなものを知らないと答えるつもりだった。
だが直後、脳内に知識が溢れてくる。
したこともない、やったこともない、バトル・ユニバースのルールが。
「……お前、何だこの魔法は」
地面から白い光のエフェクトが響くと共に、セシルの近くに魔法駒が出現した。
大きな杖を持った魔法使い、馬に乗った老騎士、盾を構えた屈強な兵士。
するとその中心で、セシルが眼鏡に触れた。
「私は魔力量がない。腕力もないし、大した技も満足に使えない。でも、そんな私を信じてみんなが命を預けてくれる。なのに……失望させてしまった。――だから、私は覚悟を決めた。残念だけど、あなたにもう勝ちはない。私はもう――負けないから」
―――――――――――――――
あとがき。
魔法はイメージの世界。
一足先に高みに到達したのは、ヴァイスでも、アレンでも、カルタでも、シンティアでもなく――セシル!?
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