254 心の胸に
「本当に……魔族がまた襲ってくるんですかね」
リリスの一言に、俺は、空を眺めた。
深呼吸をして、今までの事を思い返す。
そして――。
「シンティア、リリス。今から話すことはすべて真実だ。だが話せる事と話せない事がある。それでも聞いてくれるか?」
すべてを話す決意をした。
別人なんて信じてもらえるかわからない。
それこそ、変になったと思われるかもしれない。
「もちろんですわ」
「ヴァイス様、聞きます!」
だが二人は笑顔で答えてくれた。
ああ、ありがたい。
そして俺は、元の世界の事を少しと、俺がノブレス・オブリージュというゲームをしていた事を話した。
その登場人物に、彼女たちがいることに。
だが未来のことは殆ど話さなかった。
知ってしまえば未来が変わると確信しているからだ。
ゆえに信じられるものはすくない。
荒唐無稽な話だ。
しかし二人は、真剣な顔で最後まで聞いてくれた。
そして、予想外の言葉が返ってきた。
「ヴァイス様はやっぱり凄いです!」
「……何がだ?」
「未来を知ってもなお逃げずに立ち向かってるのですから! 私なら逃げちゃいますよ!」
「リリスの言う通りです。ヴァイスのその前向きな考え方が好きです。それに安心してください。私たちはこれからもずっとあなたの傍にいます。何も変わらず、傍にいますよ」
その時、俺の心臓が震えた。
暖かい何かで触れられたように。
そうか。自分でもわからなかったが、心苦しかったのだろう。
だましているような気持ちがどこかにあったからだ。
だが二人は受け入れてくれた。その事実が、嬉しかった。
「……ありがとう。すまない、まだ話せる事が少ないんだ」
「大丈夫です! これからはずっと私も傍で支えますから!」
「私もです。これからは
俺は自分が破滅すると事は言わなかった。
ただ、それでも気づいたのだろう。
今までの言動や行動で。
それでも一緒にと言葉にしてくれたシンティアの優しさに心が染み渡る。
「悪いな二人とも。――これからもよろしく頼む」
「はい! これから改めて宜しくお願いします!」
「こちらこそですわ。また色々言える時がきたら教えてください。私たちは、ヴァイスの味方です」
予想外の休暇だったが、とても気合が入った。
変わらず研鑽を積んでいこう。
「しかし驚きですわ。そのゲームとやらでは、私とヴァイスは愛し合っていたんですよね?」
「びっくりです。私はやっぱりヴァイス様の傍で暗躍してたんですかね!?」
シンティアはアレンと仲良く、リリスは俺を殺すために暗躍する。
とは、とても言えなかった。
「どうだったかな。そうだったような気がするな」
「ふふふ、予想通りですわ」
「えへへ、嬉しいです!」
しかし俺には本当にもったいないくらいの二人だ。
必ず。
必ず破滅を回避してやる。
――――――――――――――――
あとがき。
今まで言えなかったことを全て話したヴァイス。
しかし関係性は変わらず。
より強い絆を結び、しかし少し未来が変化するかもしれません。
とてもキリがいいので、これにて第八章、ニール&プリシラ&未来編の完結にしたいと思います。
次回は幕間を挟む予定で、新章はノブレス魔法学園からスタートする予定です。
お楽しみに(^^)/
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