黄河国は今日も平和です。
肥前ロンズ
自分の手で葬りたい人と殺されたい人
「私、
妻の言葉に、僕の息がとまった。
「よって
「うわー! 負けたー!!」
「くっ……新
「こりゃ、ちょっと調整するように言わないといけないわねー」
販売元から試作品としてどんなものか教えて欲しいと言われてやってみたが、あまりに強すぎて勝負にならなかった。
「対してこっちの
「上級者向けの
「だって、使い方次第で無双できるなんて、夢があるじゃない。どんなに弱い
紙牌をきれいに揃えながら、
それは奴隷時代や庶民時代に何も出来なかった、自分への励ましなのかもしれない。
僕は目の前にいる、この国で一番尊いとされる存在を見る。
皇帝。
言葉ひとつで、誰の命も握れてしまう人。
誰よりも神に近い天子。
対して僕は、権力を糧に生きる魑魅魍魎に、まるで害虫のように潰される。
少しでも気を抜けば、毒を盛られて殺される。僕はそんな人間だ。
こうして遊べるのは、最近はとんと少なくなった。権力者にとって僕の存在は、とても邪魔なんだろう。
「……さっきの話なんだけどさ」
「なに? さっきって」
遊戯中の軽口として片付けていた
僕は気にせず続けた。
「どんなに時間が経ってもいいから、僕を殺して」
僕の言葉に、ハシバミ色の瞳が一瞬光る。
まるで遠くで光る星のようだった。
「うん」
僕が言いたいことがわかったのか、震えた声で、
「
「いつ殺すの?」
「……最低、百年は生きて欲しいな」
それは中々難しいな、と僕は思った。
美雨が皇帝になってから、二年目も終わる頃の話だった。
ーーーー
時系列はこのお話の前
https://kakuyomu.jp/works/16817330655216271982/episodes/16817330655876799880
黄河国は今日も平和です。 肥前ロンズ @misora2222
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